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スクープ!隠された「本当の病状」新聞記者だけが知っていた 天皇陛下合同医療チームの「オフレコ会見」を公開する
式典への出席予定時間は40分の予定だったが、体調を考慮して20分に〔PHOTO〕gettyimages

------〈手術中に胸水が実は溜まっていたんです。もっと早く胸水は回復すると思っていましたが、長引いている。あまり早い回復ではなかった。ご本人が痛いなと思うこともあるようです。あくまで想定内とご本人には言っていますが・・・・・・〉

 心臓手術から1ヵ月。天皇は奇跡的な回復を見せ、3・11追悼式典の場に立った。だがそれは、体調不良を押しての〝強行出席〟だったのか。皇室医務主管の「隠された」言葉がそんな不安を裏付ける。

「これはオフレコで」

〈(手術後の天皇は)胸水が溜まっていました。もっと早く回復するものと思っていましたが、長引いている。これは陛下には申し上げていないことです〉

〈胸水が溜まっていると息苦しくなりますし、それが減っていく際には痛みが出ることもあります。普通の動きをしている時には大丈夫ですが、瞬間的には陛下も『痛いな』とお感じになることもあるようです〉

 これは、国民がこれまではっきりと知らされることのなかった、「天皇の本当の病状」の一端である。

 心臓・冠動脈のバイパス手術から、わずか1ヵ月足らず。天皇は皇后を伴い、3月11日に東京・三宅坂の国立劇場で行われた東日本大震災の1周年追悼式典に出席した。

「大震災の記憶を忘れることなく子孫に伝え、防災に対する心がけを育み、安全な国土を目指して進んでいくことが大切と思います」

 ほぼよどみなく発せられた天皇の言葉からは、後遺症や体調不良の様子は、ほとんど感じられなかった。

 心臓外科医で、東京ハートセンター・センター長の南淵明宏医師はこう語る。

「追悼式典での陛下のお姿を拝見する限り、順調に回復なさっていると思います。お言葉は力強かったですし、背筋もピンと伸ばされていて、傷口などを痛がる様子もお見受けしませんでした。おそらく、5月頃には通常のご公務に復帰できるのではないでしょうか」

 意外なほど元気な姿の根底には、「なんとしてでも3月11日の追悼式典には出席したい」という、天皇自身の強固な意志があったことは間違いない。

 2月18日に東大病院で手術を受け、3月4日に退院した天皇は、御所において階段の上り下りや、NHKのラジオ体操に合わせた軽い運動などのリハビリを続け、11日の式典に備えていたという。

「陛下は昨年の大震災の後、2ヵ月足らずの間に7回も被災者のお見舞いをされたほど、ご自身の使命への思いが強いのです。手術に関しても、追悼式典までに体調回復が間に合うよう、ご自身で日程を調整されたのですよ」(皇室ジャーナリストの渡辺みどり氏)

 ギリギリまで出席が危惧されていたにもかかわらず、会場に矍鑠として現れた天皇の姿に、参列者の中には思わず涙を流す人々もいた。

 しかし、そこに至るまでの道は決して平坦ではなかった。それを示すのが、冒頭の「思ったより長引いている」との発言である。これは、天皇の治療を担う合同医療チームの事実上のトップ、金澤一郎・皇室医務主管のオフレコ発言だ。

 金澤氏は東大医学部を卒業後、英国ケンブリッジ大学留学などを経て、東大病院院長などを歴任。昨年まで皇室医務主管の傍ら、日本学術会議会長などを兼任していた、医学界の最高権威の一人だ。天皇の手術後には、順天堂大学の天野篤医師ら現場の執刀医を率いて会見に臨んでいた姿が記憶に新しい。

 その金澤氏が、天皇が退院をした直後の3月4日午後4時から、宮内庁舎隣りの蓮池参集所で会見を開いた。そして新聞・テレビ・通信社などの皇室担当記者約50人を前に、

「表には出せない天皇の真の病状」

 について言及していた。そしてその内容は、術後の経過が、いまひとつ思わしくない状況であることを窺わせるものだったのだ。

 退院に際し金澤氏は「皇室医務主管」名で、天皇の体調についての公式発表を行っている。そこでは、

「『術後経過は順調である』と単純には言えず」

 としながらも、

「『術後の様々な出来事があったが想定内であって、それもすべて改善の方向にある』と考えるのが適切」

「(胸水の)貯留量は少しずつ減少していること、日常のご生活上には胸水の影響はあまりないこと(中略)胸水のためにご入院を継続して頂く必要性はないと判断されました」
などと説明していた。

 そのまま読むと、天皇はまずまず、順調に回復したかのようにも受け取れる。だが、そうではなかった。

 金澤氏はあくまで「これはオフレコ」としており、新聞・テレビなど大メディアはそれに従い、明かされた情報を公にしなかった。だが、「天皇の病状」は、一部の報道関係者のみが専有するのではなく、国民すべてが、広く知るべき情報だと本誌は考える。

 表面上「予後良好」を演出しながら、実はオフレコ場面での金澤氏は、天皇の容態について、こんな懸念を語っていた。

〈食欲が戻るのも、予想より遅いようだ。その原因としては、前立腺がんの治療のため行っているホルモン剤の注射による可能性がある。そういう、広い意味でお疲れが溜まっているということかもしれない〉

〈(胸水が溜まることについて)陛下ご本人には、あくまで想定内と言っています。だから報道してほしくはないが、胸水が引いていく段階で、ご本人が『痛いな』と思うこともあるようです。ただ、日常のふつうの動きをしているなら、自覚症状はあまりない〉

〈陛下は『できる間にいろんなことをする』とおっしゃっているが、以前と同じように公務や祭祀をされていいものか。今回の(手術による)休養で心臓に関する不安は減ったが、かといって他の不安材料までが減ったというわけではない〉

「前立腺がん」と、今回の手術の理由となった「狭心症」。天皇にはこの二つの大きな持病がある。

 78歳と高齢なこともあり、手術後には、食欲不振や発熱、肝機能障害なども確認された。医療チームが治療・手術と、天皇の体力維持とのバランスを崩さないよう、細心の注意を払ってきたことは想像に難くない。

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