清武英利・前巨人軍代表が握る黒い秘密
読売新聞・渡辺恒雄会長に向けて引き絞られる第2、第3の矢

(左)渡辺恒雄・読売新聞社会長 〔PHOTO〕gettyimages

 昨年11月18日、読売巨人軍の球団代表を解任されてから続いていた、清武英利氏と読売新聞社との争いは、『朝日新聞』が選手の高額契約金をスクープ。それが「清武氏の持ち出した内部資料によるもの」と疑う『読売新聞』は、批判記事を掲載し、「清武VS読売」「朝日VS読売」という多層構造の争いになってきた。

 誰もが興味を持つ「球界話」であるのに加え、読売新聞社会部のエース記者だった清武氏は、マスコミの耳目を集める戦い方を熟知、一方、敵は『読売新聞』というより、「マスコミ界のドンにして悪役」の渡辺恒雄・読売新聞社会長で役者はそろっており、騒動はまだまだ続きそうだ。

 清武氏は『朝日新聞』が1面トップで報じた3月15日の翌日、誰の事を書いたか自明の『巨魁』(ワック)を出版。このタイミングの良さを理由に、『読売新聞』は『朝日新聞』を始めとする他のマスコミとの間に「不自然な連携」があるとして批判、渡辺会長は「これは窃盗だ。刑事告訴も考えている」と、記者団に語っている。

 確かにタイミングが合い過ぎている。なぜ朝日報道は3月15日で、『巨魁』の出版は16日なのか。

選手たちへの配慮がしめすもの

 この問題については、元読売新聞記者・大谷昭宏氏の夕刊紙コメントが、最もわかりやすく説得力があった。

 〈 所得税申告期限の3月15日までに起訴できなければ時効となる。公訴時効は5年。今回、問題となっている契約金超過は2007年までのことで、この15日に時効は成立した。事実が明るみに出ることで、球団のイメージは低下しても、各選手が直接、国税当局から調べられることはなくなった 〉(『夕刊フジ』3月17日)

 巨人軍や渡辺会長には一矢を報いたいが、選手に罪はない。そこで、仮に疑念を抱いた国税が、選手を調べようにも調べられない「税金の時効」を待って記事を仕掛けた---。

 こう大谷氏は推測するのだが、確かに忘れてはならないのは、清武氏が「国税担当」として名を馳せた記者であることだ。数々のスクープをものにしているが、現在の「小沢一郎事件のルーツ」ともいうべき水谷建設脱税疑惑は、中部本社社会部長時代の清武氏が仕掛けたものである。

 そして、清武氏の「二階級特進」となった04年8月の読売巨人軍球団代表兼編成本部長の就任は、「社会部エース記者」わけても「国税に強い記者」としての経歴が買われたものではなかったか。

 この時、巨人軍のスカウトが明治大学の一場靖弘投手(現東京ヤクルト)へ「栄養費」として現金200万円を渡していたことが発覚。渡辺氏は巨人軍オーナーを退き、土井誠・巨人軍社長や三山秀昭・球団社長もいっせいに退任する騒動となっていた。

 この事件の際、渡辺氏は「清武をもらうぞ」と言い、氏の鶴の一声で清武氏の球団代表への就任が決まったという。

 『巨魁』のなかで、清武氏は代表への就任要請を、「なぜ社会部出身の我々(同時就任の巨人軍オーナー・滝鼻卓雄氏、球団社長・桃井恒和氏も社会部)なのか」と、自問自答したといいつつも、その結論を出していない。

「私に与えられた使命は、大きく失墜した読売巨人軍の信頼回復と球団経営改革であり、コンプライアンスの徹底であった」と、書くのだが、きれいごとに過ぎよう。

 というもの、この時、国税は明らかに「裏ガネを渡してドラフト前の選手を支配する球界の慣習」にメスを入れようとしていた。

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