10兆円を生み出す日本郵政株売却に光明? 
自民、公明の改正法案提出協議がいよいよヤマ場へ

日本郵政グループの経営の大黒柱はゆうちょ銀行〔PHOTO〕gettyimages

 難航していた政府保有の日本郵政株の売却問題に、かすかながら光明が射してきた。

 自民党が先週末(16日)の総務部会で郵政事業の見直し方針のとりまとめに漕ぎ着け、公明党などとの郵政民営化法の改正案提出に向けた協議を本格化できる見通しとなったためだ。

 実現への道程はなお長いが、10兆円単位の貴重な税外収入を確保して将来の大型増税を抑制できる可能性をもつプロジェクトだけに、その行方を注意深く見守る必要がありそうだ。

 郵政事業の見直しは、小泉純一郎内閣時代の郵政民営化の失敗を認めて、日本郵政の経営形態や経営方針、業務範囲を見直そうというもの。

 このコラムでも何度も取り上げてきたが、2009年の政権交代直後に、国民新党主導で「改革凍結法」を可決したことから、政府保有株の売却も不可能になっていた。2010年春の通常国会以降、改革を目指す法案が国会にかかるのは、今回が実に6度目のこと。

 ただ、今回は民主党が目指した新法・郵政改革法案の可決・成立を目指す形ではなく、公明党が主導で凍結状態の郵政民営化法の改正によって見直しを進める議論が提起されている。

 公明党の直接の狙いは、郵政株の売却収入を復興財源に充てることにあり、その柱は、
(1)郵便局会社と日本郵便を合併(新会社の社名は「日本郵便」)させて、現行の5社体制を4社体制に集約する。

(2)日本郵政と合併会社の日本郵便に対して、郵便、ゆうちょ、かんぽの基本サービスを、郵便局で一体的に提供する責務を課す。

(3)合併会社の日本郵便に、郵便局をあまねく全国に設置する義務を課す。

(4)政府は、日本郵政の株式の1/3超を常時保有し、残余の株式はできる限り早期に処分するものとする。

(5)日本郵政㈱は、早期にゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式をできる限り多く処分するものとする(具体的な内容は、日本郵政の経営判断に委ねる)。

(6)ゆうちょ銀行とかんぽ生命の新規業務については、引き続き内閣総理大臣(金融庁)及び総務大臣の認可制とするが、日本郵政が両社株の1/2以上を売却した後は、届出制に緩和する。

(7)ゆうちょ銀行とかんぽ生命の限度額規制については、現行法と同様、政令で規定するものとし、当面は引き上げない。

---などとなっている。

3党合意の可能性も

 これに対して、与党・民主党は、法案として提出されれば、ほぼ丸呑みする構え。

 ところが、公明党が法案の共同提出を申し入れていた自民党が昨年来、意見を一本化できず、公明党との事前協議に入れない状態が続いていた。

 自民党が意見集約をできなかったのは、自民党幹事長経験者の武部勉氏や中川秀直氏、塩崎恭久元官房長官らかつての小泉政権幹部を中心に、小泉改革の否定に反発する声が大きかったためだ。

 特に公明党案の(5)の日本郵政が保有しているゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式の売却問題について、「郵政民営化路線の堅持のため、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式の100%売却は譲れない一線だ」と主張する向きが多かった。このため、先週後半まで、柔軟な対応を求める反・小泉派議員との間で意見が真っ二つに割れていた。自民党としての基本方針のとりまとめは、時間切れになり、両論併記に終わるとみられていた。

 ところが急転直下、自民党は16日の総務会で、1歩踏み込む形のとりまとめに漕ぎ着けた。2社の株について「完全処分は党の方針だ」とトーンダウンしたうえで、条件付きながら、売却期限(2017年9月末)の延長や、売却についての経営の裁量権を法的に規定できないかを検討する必要があるといった文言を挿入する基本方針がまとめられたのだ。

 これによって、本稿の執筆段階ではまだ確定していない要素が残っているものの、3月19日からの週に、各党の現場の実務者レベルで、公明党案の修正協議が始まる見通し。自民、公明両党だけでなく、「民主党も加わった3党合意の可能性も出てきた」と楽観的な関係者もあらわれている。

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