経済の死角

電波オークションへの期待はやっぱり裏切られた。市場へのチャレンジャーに厳しい900MHzの周波数付与方式の問題部分

2012年03月20日(火) 吉川尚宏
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900MHz帯の30MHz分の免許はソフトバンクモバイル株式会社に付与されることになった〔PHOTO〕gettyimages

予想どおりに不合理

 少なくとも「オークションの考え方」を導入しているからには、多少は「オークション」の香りがするかと思ったが、見事なまでにその期待は裏切られてしまった。

 2012年2月28日に総務省は「3.9世代移動通信システムの普及のための特定基地局の開設計画の認定」を行い、その結果、プラチナバンドといわれる900MHz帯の30MHz分の免許はソフトバンクモバイル株式会社に付与されることになった。

 筆者は従来から900MHzの周波数付与方式には経済合理性がないことや透明性が欠けていることを批判してきた(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/25391)。特に入札価格に上限価格を設定していること、しかもその数値はバーチャルな数値であって、事業者が実際に負担する金額でもなければ、預金残高等を提示する必要がある金額でもないことについては、経済合理性が全くないことを主張してきた。

 結果はどうだったか。各社の入札金額は次のとおりであった。

・イー・アクセス             2,109.04億円
・NTTドコモ              2,100億円
・KDDI/沖縄セルラー電話    2,100億円
・ソフトバンクモバイル         2,122.5億円

 各社、上限価格2,100億円とするか、2,100億円を少し超えた金額で入札を行っている。ちなみに、この入札金額は上限が2,100億円であるため、2,100億円を超えていても何ら意味はない。ここではソフトバンクモバイルの入札金額がもっとも高いが、ソフトバンクモバイルが今回選ばれたのはこれが理由ではない。いくつかの評価基準があるが、もっとも有力な理由は割当周波数帯・契約数の程度である(これについて後述する)。

 2,100億円が上限であるにも関わらず、イー・アクセスとソフトバンクモバイルが2,100億円を微妙に上回る入札を行っていることについては、筆者はある種のシグナルを感じる。すなわち、入札金額面でも最大限の努力をしているというアピールをしたい一方、大きく上回ると上限なしのオークションと同等と捉えられてしまうことを懸念しているように感じられる。いずれにせよ、今回明らかとなったのは1MHz当たりの周波数の価値は、非常に少なく見積もっても70億円を下回ることはない、ということである。

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