米大学への編入という選択――
名門ブラウン大学での幸せで刺激的な体験例

2012年03月19日(月) 田村 耕太郎

 今回はアメリカの学部への編入という選択肢について、興味深い事例を紹介したい。慶応大学からアメリカの名門アイビー・リーグのブラウン大学に編入した熊平智伸さんのケースだ。帰国子女でもない熊平さんのアメリカの学部への編入は多くの日本人大学生を勇気づけるのではないかと思うからだ。アメリカの学部入学にこんな道もあるのだ。

 ブラウン大学は1764年に設置された米国で11番目に古い大学。風光明媚な高級住宅地ロードアイランド州プロビデンス市にある。難関校が並ぶアイビー・リーグの一角を占める。福沢諭吉はブラウン大学で、西洋式の高等教育に触れて感銘を受け、『学問のすゝめ』を書き、1868年慶應義塾設立に至ったとされる。

 USニューズによる大学ランキングでは全米15位。しかし、"学生の満足度"はエールやハーバードを抑えて、全米1位といわれる。そのため大学ランキングでブラウンより上位に位置する大学を蹴って進学してくる学生も多い。

 著名人では、ジョン・フィッツジェラルド・ケネディ・ジュニアがハーバード大学を蹴り、米TVドラマ「ヒーローズ」で有名になったマシ・オカがハーバード大学とマサチューセッツ工科大学を蹴り、ハリーポッターシリーズでトップ女優に躍り出たエマ・ワトソンがイェール大学・コロンビア大学・ケンブリッジ大学の3つを蹴って、ブラウン大学を選んでいる。

 そのため、毎年受験倍率が12倍以上にも達する最難関大学である。大学の公式情報によれば、2009年度の入学志願者数は設立以来過去最高を記録し、その倍率は17倍以上に達した。つまり合格率は6%以下である。合格者の約半分である47%(2009年入学組)は、高校で首席か次席であったという。

ノーベル賞受賞者からの直接指導も

 また、ブラウン大学卒業生が志願した場合、全米ロー・スクールトップ3に合格できる確率は92~95%。ビジネス・スクールではその合格率が100%近くに達する。メディカル・スクールへの合格率は、全米で五本の指に入る。

 全米で学生がもっとも幸せな大学といわれるブラウン。その最大の理由は学生が自由に科目を選択して自分の学問を追求できることである。この「オープン=カリキュラム」を支えるのが、Pass or Failという成績評価制度。

 一言でいえば、成績がA、B、C、Dなどではなく「可」か「不可」の二つになるということだ。アメリカの大学生が最も敏感になっているのは成績。優秀な成績(高いGPA)で卒業しなければ、就活や大学院への進学にも大きく影響するからだ。




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田村 耕太郎

(たむら・こうたろう) 前参議院議員。エール大学上席研究員、ハーバード大学研究員などを経て、世界で最も多くのノーベル賞受賞者を輩出したシンクタンク「ランド研究所」で唯一の日本人研究員を務めた。
国立シンガポール大学公共政策大学院名誉顧問、新日本海新聞社取締役東京支社長。
1963年生まれ。早稲田大学卒業、慶応義塾大学大学院修了(MBA取得)。デューク大学ロースクール修了(法学修士)、エール大学大学院修了(経済学修士)、オックスフォード大学上級管理者養成プログラム修了、ハーバード大学ケネディスクール危機管理プログラム修了、スタンフォード大学ビジネススクールEコマースプログラム修了、東京大学EMP修了。
2002年から10年まで参議院議員を務めた間、内閣府大臣政務官(経済財政、金融、再チャレンジ担当)、参議院国土交通委員長などを歴任。
シンガポールの国父リー・クアンユー氏との親交を始め、欧米やインドの政治家、富豪、グローバル企業経営者たちに幅広い人脈を持つ。世界の政治、金融、研究の第一線で戦い続けてきた数少ない日本人の一人。
2014年8月、シンガポールにアジアの地政学リスクを分析するシンクタンク「日本戦略情報機構(JII)」を設立。また、国立シンガポール大学(NUS)リー・クワンユー公共政策大学院の兼任教授に就任し、日本の政府関係者やビジネスリーダーに向けたアジア地政学研修を同校教授陣とともに実施する。
著書に『君に、世界との戦い方を教えよう 「グローバルの覇者をめざす教育」の最前線から』などがある。