医療・健康・食
偽物の豊胸バッグが時限爆弾に!
それよりももっと怖いテロリストの体内爆弾!!

取り出された豊胸バッグ〔PHOTO〕gettyimages

 豊胸手術の時に胸に埋め込むシリコンは、メロンパンのような形でツルンとしている。初めて知ったが、豊胸バッグというそうだ。ドイツ語の方は、直訳すればバスト・クッション。

 思春期以来ウン十年、一度でいいから豊満な胸を揺さぶってみたいものだと密かに思っていたが、そんな儚い夢など吹き飛ぶような怖いニュースを聞いてしまった。そのメロンパン、ではなく豊胸バッグの大手製造元が、医療用の高品質のシリコンと偽って、実は、お風呂場のタイルの目地やらマットレスの製造に使う工業用シリコンを使っていたのだ。値段は10分の1で、毒性があるという。

 この毒メロンパンの場合、手術後時間が経って外側のバッグの部分に微細な亀裂が入ると、中身のシリコンがじわじわと漏れ出て、胸の組織に拡散する。当然のことながら炎症が起こるし、発ガン性の疑いさえある。これは、粉ミルク、上海ガニ、オートバイはもちろん、残留孤児までが偽物という国の話ではなく、ルイ・ヴィトンの国、フランスで起こっている話だ。

 ニュースが流れたのは去年のクリスマス直前。フランスの保健省が、偽物の豊胸バッグのリコールを呼び掛けた。シリコンが漏れて、発ガンしたケースが8例見つかったからだ。うち2人は、すでに死亡しているという。

 ただ、リコールと言われても自動車の部品とは違って、すでに体の中に埋め込まれてしまっているのだ。被害者の驚愕はいかばかりであったことか。しかも、ガンだの死者だのと聞けば、胸に時限爆弾を抱えているようで、夜もろくろく眠れないに違いない。一刻も早く取り出したいという気持ちは、容易に想像がつく。

 しかし、実際問題として、今日まで優雅に揺れていた豊満な胸が、明日から無くなってしまうと困る人は多いと思う。服も下着もすべて合わなくなる。特に、手術したことは内緒で、夫とか恋人とか同僚に豊かな胸を見せびらかしていた人は、どうすればいいのだ!と、他人事ながら心配になる。

 また、再び手術台に上がらなければいけないという精神的苦痛も非常に大きいだろう。取り出す手術は、埋め込む手術よりもずっと難しく、シリコンの漏出が始まっていれば、さらに複雑になる。それに、豊胸手術は術後の痛みが激しく、しかも長く続くので、その苦しみがまた振り出しに戻るのだと考えると、私なら、もうそれだけでうつ病になりそうだ。