辞任は遅すぎる!「ドライベントを失念」して半径10Kmの住民避難を怠った「A級戦犯」斑目春樹原子力安全委員会委員長が「原発再稼働」ストレステストを判断する「危険」
〔PHOTO〕gettyimages

 原子力安全委員会の班目春樹委員長が辞意を漏らしている。3月12日の記者会見で「精神的にやや限界で、区切りを付けたい」と述べ、3月末にも退任する意向を示した。

 斑目といえば、福島原発事故の発生当時、菅直人前首相から水素爆発の可能性を問われ、否定した直後に爆発し、見通しを完全に誤った政府の責任者である。

 福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)の報告書によれば、爆発を目の当たりにした後も、誤った見通しを修正せず、それどころか「これは水素爆発」とすぐ認識していながら、茫然自失して、そのことを「だれにも言えなかった」と証言している。菅の前で「アチャー」と言って頭を抱えるしか術がなかったのだ。

 まったくプロとしての責任を放棄している。その後で再び、別の原子炉でも水素爆発が起きているのだ。

「ウェットベントだと思い込んでいた」

 斑目はもっと重要な失敗も犯している。

 事故発生翌日の3月12日未明、原子炉格納容器の圧力が異常に高まって、容器内の圧力を抜くために外界に直接排気するベントの必要性が出てきたとき、斑目は住民避難の範囲を狭く進言して、結果的に多くの住民を放射能被曝のリスクにさらした。それは、こういう事情だ。

 ベントには圧力抑制室から排気するウエットベントと格納容器からのドライベントがある。放射性物質の放出はドライベントのほうが断然多い。斑目はウエットベントを念頭に「チェルノブイリでも30kmぐらいまでしか立入禁止区域がありませんから(放射性物質は)そんなに広く飛ぶわけではない」と説明し、これを受けて原子力安全・保安院と安全委は半径3kmまでの避難区域を見直さない方針を決めた。

 ところが、東京電力は現地との協議で放射性物質の放出が多いドライベントの実施を決めた。結果的に大量の放射性物質が放出されてしまったのだが、斑目はどうだったか。「ドライベントは失念していた。ドライベントをやる場合には避難は3kmでは足りない。10kmは避難しなくてはいけない」と語っている(報告書)。

 つまり斑目はウエットベントとばかり思っていて、ドライベントは忘れていたので「3kmの避難で大丈夫」と思い込んでいたというのだ。こういう人物がいまも原子力安全委員会のトップに座っているのだから、国民は救われない。

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