メディア・マスコミ
朝日が記者にツイッター解禁、記者の匿名性をなくし規律もたらす、脱「記者クラブ的報道」のきっかけになる可能性も
「朝日新聞」HPより

 朝日新聞が年明け以降、一部の中堅記者に対してツイッターを解禁した。3月初頭時点では、自社サイト上で北京特派員や社会部記者ら25人に上る「つぶやく記者」のアカウントを紹介している。

 新聞界に限れば、日本はいまでも「ツイッター後進国」だ。記者によるツイッター利用を実質的に禁止する新聞社が大半なのだ。AP通信をはじめ、記者にツイッター利用を積極的に促すメディアが多いアメリカとは正反対といえる。だから朝日のツイッター解禁もニュースになる。

 なぜ「ツイッター後進国」なのか。新聞社が記者に対してジャーナリストというよりもサラリーマンであるよう求めているからだろう。サラリーマンであれば第一に組織の一員。組織から離れて個人として活躍し、社会的に認められる存在になると、「社内秩序を乱す」などと言われかねない。

 それを象徴しているのが新聞報道の無署名主義だ。毎日新聞や朝日新聞が署名記事を増やすなどなど変化が出てきているとはいえ、記者が無署名で記事を書く無署名主義は長らく新聞界の伝統だった。読売新聞や日本経済新聞はなお無署名記事を中心にしている。記者を「サラリーマン記者」にとどめておくうえで無署名主義は好都合なのだ。

 言うまでもなくツイッターは無署名主義とは相いれない。うまく使いこなせば「著名ジャーナリスト」にもなれる。たとえばニューヨーク・タイムズの人気IT(情報技術)ジャーナリスト、デビッド・ポーグ(@Pogue)。フォロワーは140万人に達する。ニューヨーク・タイムズの看板がなくてもやっていけるだけの個人ブランドを築いているといえよう。

 記者がツイッターを駆使するとなると、「いまこんな取材をしている」「きょうはこんな記事を書いた」などとつぶやくことになる。これが記者の仕事なのだから当然である。仕事とは無関係の趣味の話ばかりつぶやいていても、ジャーナリストとしてのブランド価値は高まらない。

 アップルが第3世代 iPad(アイパッド)を発表した3月7日には、ポーグは発表会場から合計12回もツイートしている。ツイートを読むだけで、彼がどんな問題意識で取材しているのか大まかにはつかめる。自分が書いたコラムについて必ずリンクを張り、紹介もしている。