中国
「両会」のメインイベントのひとつである温家宝首相の「政府活動報告」を聞いて改めて思う、日本の25倍の国土を抱える大国


「両会」での温家宝首相〔PHOTO〕gettyimages

 先週のこのコラムでもお伝えしたように、北京はいま、「両会」(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議)の真っ最中である。社会主義国の中国では、普段の政治は「中南海」の奥の院で行われていて窺い知れないが、この12日間だけは、すべての政治指導者たちが表舞台に登場する。そのため、中国メディアはもとより、いまやアフリカの僻地の国まで人民大会堂に取材クルーを派遣し、中国の最高幹部たちの一挙手一投足を伝えている。

 「両会」のメインイベントは二つあって、一つは3月5日午前中の全人代の開幕に際して行われる温家宝首相の「政府活動報告」である。またいま一つは、3月14日の全人代の閉幕に際して行われる温家宝首相の記者会見である。2003年の全人代で首相に任命された温家宝は、69歳になったが、来年の全人代で引退するまで、2期10年を勤め上げることになる。

 全人代の開幕式では、「トップ9」と呼ばれる、胡錦濤総書記以下、9人の中国共産党中央政治局常務委員の面々が、ズラリ登壇した。胡総書記は、共産党の象徴である赤いネクタイを締め、厳粛な表情を崩さない。胡総書記の弟分で、ちょうど一年後に首相になる予定の李克強副首相は、何と胡総書記とお揃いのネクタイを締めて登壇した。

 そのライバルで、今秋の第18回共産党大会で総書記に就任予定の習近平副主席は、水色のネクタイをしている。こうしたところにも、ぞれぞれの「自負」を感じる。そして、隣り合って座った習と李は、相変わらず目線すら合わせない。

 この日、午前9時から、温首相が「政府活動報告」を行った。これは日本で言えば、1月の通常国会の冒頭で首相が行う「施政方針演説」に符合するものだが、日本と異なるのは、首相が国会で演説するのは年にたった1回だけということだ。このため、原稿1万5878字、時間にして1時間49分にわたって行われた今回の温首相の演説は、非常に貴重である。

 私は中国中央テレビを通じて、この温首相演説全文を聞いたが、往年よりかなり老いたとはいえ、その迫力は凄まじかった。そして改めて中国が、日本の10倍以上の国民と、日本の25倍の国土を抱える大国であることを思い知らされた。

 中国の政治家は、まるで巨艦を操縦しているようなものだ。大陸の中心に立って、大手を翳してざっくりと中心から掴んでいくのが、中国式である。だから掴み切れないものも出てくる。よく言えばダイナミックで、悪く言えばセイフティネットが行き届かない。