Closeup 浅尾拓也(中日ドラゴンズ)「ブルペンの球数は13球」の理由
あさお・たくや '84年、愛知県生まれ。愛知県立常滑北高校(現・常滑高校)から、日本福祉大学を経て、'07年にドラフト3位で中日に入団。右投右打、182cm75kg 〔PHOTO〕本多治季(以下同)

取材・文|柳川悠二(ノンフィクションライター)

 昨季、防御率0.41で、セ・リーグMVPとゴールデングラブ賞を獲得した最強セットアッパーの流儀に迫る!

 中日ドラゴンズの春季キャンプが行われている沖縄県の北谷では、この男の行くところ女性が押し寄せ、素っ頓狂な声をあげていた。中日強力投手陣の中で、随一の人気を誇る浅尾拓也(27)である。

 球界のアイドルとも形容される彼は、既婚者でありながらこういった狂騒が起きることに、戸惑いを隠せないでいた。

吉見や岩瀬などが立ち並ぶ中、「スパァン!」と一番良い音をブルペンに響かせて、130球を投げ込んでいた

「正直、慣れないんです。僕は、モテたこともぜんぜんないですから。マスコミの方に『バレンタインチョコは何個もらいました?』とかも聞かれますけど、そういうのもノータッチがいい。照れとかじゃないんです。とにかく野球選手としての一面だけを見てほしいんです」

 昨シーズンの浅尾は、その甘いマスクだけでなく、投手成績においても球界の顔となった。主に試合の中盤以降を任されるセットアッパーとして79試合に登板、防御率0・41という驚異的な数字を残した(ちなみにシーズンを通して一本の本塁打も打たれなかった)。守護神・岩瀬仁紀(37)とともにリリーフ陣の柱としてセ・リーグ制覇の立て役者となり、リーグMVPにも輝いた。さらに先発登板がない中継ぎ投手としては史上初めてゴールデングラブ賞を受賞したのだ。