天下り基金だけが減少しないまま!AIJ事件に隠された厚生年金基金という欠陥年金と大阪市にはびこる違法・不適正行為

この国はでたらめばかり

 AIJ投資顧問事件で年金資金2000億円がなくなった。もちろん、今回の事件は運用受託側のウソをついたAIJ投資顧問が悪いのは当然として、運用委託側の基金もプロの自覚がなく自己責任を問われる。

問題の背景には、厚労省からの厚生年金基金への天下りと厚生年金基金制度そのものの問題がある。

 問題の年金は厚生年金基金であるが、その名称は公的年金である厚生年金(2階部分)と紛らわしい。厚生年金基金は、特別法人で厚生年金保険法に基づく厚生労働大臣の許可を得て設立される企業年金だ。というものの、純粋な企業年金でなく2階部分の厚生年金の多くの部分と3階部分の企業年金部分を合体したものだ。

厚生年金の部分は、標準報酬月額再評価分および物価スライド分を除く厚生年金の報酬比例部分であるが、本来は国が行うべきところを、国に代わって企業年金で支給するので代行部分という。今回の事件で基金の代行部分まで損が及ぶと、企業年金にとどまらず公的年金も穴があくことになる。

ペンネームでの批判記事に厚労省が猛反発

 私はかつて「半官半民のヌエ」として、この厚生年金制度を猛烈に批判したことがある。日野和一というペンネームで「厚生年金基金は年金制度を冒すガンである」と言う論考を金融業界誌である週刊金融財政事情1994年11月21日号に投稿した。公的年金と私的年金を合体して運用するのは、運営自由度を欠き年金数理上無理があるという制度的欠陥を指摘した。こうしたヌエ的な年金制度は世界に類を見ない日本独特のものだともいい、制度破たんが起こると予言した。

 厚労省はすぐに反応し、年金数理の権威者に私の論考への反論を書かせた。しかし、権威者らしからぬ稚拙な反論(おそらく厚生省官僚が書いて、権威者は名前を貸しただけ!)だったので、私はそれへの再反論も書いた。年金数理をベースにした批判だったので、すぐに私が書いたことがばれて、今度は厚生省から強い抗議が大蔵省人事担当者にあった。厚生年金基金は掲載雑誌の購読を中止するという動きもあった。言論で対抗できないと露骨な手段を使うのが官僚である。

しかし、この指摘は図星だった。どんなに言い訳をしても、市場環境はそれを許してくれない。その頃からデフレ経済になり、運用利回りは低下し、制度欠陥が顕在化しだした。代行部分は国の制度、その以外の上乗せ部分は企業の事情となって、基金運営が股裂き状態になるのだ。そのうち、基金運営ができなくなるところもでてきた。

 1996年度に1883あった基金は2010年度には588に減少した。その内訳を見ると興味深い。基金は、単独企業で作る単独型、グループ企業で作る連合型、同種中小企業で作る総合型がある。単独型は562から42、連合型は678から51、総合型は643から495と、単独型と総合型は激減し、総合型だけが残っているだ。その理由を厚労省は中小企業数が多く基金解散の意思決定が難しかったというが、はたしてそれだけだろうか。

 厚生省との論争でも総合型基金では管理が甘いことを指摘していたが、当時から、旧社会保険庁OBらが基金に多数天下っていた。すでに問題が顕在化していた2000年11月のデータであるが、総合型629基金のうち575基金(91%)、単独・連合型1190基金のうち157基金(13%)に、旧厚生省、社会保険庁、都道府県の社会保険担当部局の元職員らが天下っていた。天下り理事らは総合型に集中していた。たしか、年俸は平均で1000万円を超えていた。

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