続グーグルの新プライバシー規定をめぐる混乱
ビック・データという新ゴールドラッシュ(前編)

にこやかにグーグルの新プライバシー規定を説明するベッツィー・マッシェロ・マネージャー(ストラタ・コンファレンス2012で筆者撮影)

 今週木曜日、ネット最大手のグーグルが、新プライバシー規定を実施した。同問題については以前、このコラムでも紹介したが、同変更では、フランス政府が「EUデータ保護法に抵触する恐れ」を警告し、米国政府は「消費者保護の観点から調査」を続けている。日本でも総務省と経産省が「遵法を求める通知」をグーグルに送るなど、公的機関が警戒感を強めている。

 1ヵ月以上の事前通知と関係機関への調整を続けてきたグーグルだが、それでも批判の声は消えていない。興味深いのは、ワシントンが警戒心を露わにする一方、ここシリコンバレーにはグーグルに対して寛容的な雰囲気が漂っていることだ。

 なぜ、これほどの逆風を受けながら、新プライバシー・ポリシーを強行するのだろうか。なぜ、シリコンバレーはグーグルの動きに寛容なのだろうか。この謎を追ってみたい。

新ポリシーの狙いは、皆さんへのサービスを向上させること

 今週、シリコンバレーのサンタクララ・コンベンション・センターでは、ビック・データをテーマにしたストラタ展示会が開催されていた。たまたま3月1日、プライバシーに関するセッションがあり、グーグルの担当者が登壇した。

「本当はもっと別の話をしたかったけど。たまたま今日に重なったから、説明しないわけにはゆかないわよね」グーグルのパブリック・ポリシー・マネージャーを務めるベッツィー・マッシェロさんは、そんな前置きをして新ポリシーについて解説を始めた。以下、彼女の説明をかいつまんでまとめて見よう。

 世界中でネットサービスを提供しているグーグルは、検索サービスを筆頭に電子メールやカレンダーなど60件を超えるサービスを提供している。従来、サービスそれぞれにプライバシー・ポリシーが定められていた。新規定では、こうした多彩なサービスに対するプライバシー・ポリシーを一本化する。

 プライバシー・ポリシーが違えば、同じユーザーが入力した情報も別々にあつかうことになる。「ポリシーを統一すれば、ユーザーの情報を統合し、サービス使いやすくできる」とマッシェロ・マネージャーは、その目的を説明した。

 たとえば、グーグルは基本的に各ユーザーの検索情報をすべて記録している。車メーカーに勤める人は自動車に関するサーチが多いだろうし、ダンスに興味のある人は舞踏用語を多数検索しているはずだ。従来は、ユーザーが自動車やダンスに関心を持っていると分かっていても、この情報を他のサービスに利用できなかった。

 新規定を使えば、ウェブ検索の履歴を利用してユーチューブで適切なビデオを推奨したり、自動翻訳するときに正確な結果を導き出せる。グーグルの目指すサービス向上とは、こうしたことを指す。その目的は「皆さんの情報を元に、皆さんへのサービスを向上させることだ」とマッシェロ・マネージャーは説明する。

 彼女の説明は、大部分が以前このコラムで分析した通りだが「ユーザーの情報で、ユーザー自身のサービスを向上させる」は、今回の取材を通じて同社の意図がより明確になった部分だ。

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