米国FRBのQE3実施遠のく可能性=円安傾向が定着も
 

 2月29日、米国の下院金融委員会で、FRB(連邦準備理事会)のバーナンキ議長は、「米国の失業率は、やや予想を上回るペースで回復しつつある」と証言した。また、同氏は、金融市場が期待していた金融緩和策第3弾=QE3の実施を示唆することはなかった。

 今回のバーナンキ議長の発言の奥には、米国の金融当局の景気見通しに微妙な変化が出始めていることを読み取ることができる。発言の真意は、足元の米国経済をみると当初懸念されたほど深刻な状況は脱しており、今後、米国経済が本格的な回復過程に復帰することが可能になりつつある。そのため、これ以上の金融緩和策の実施については、当面、様子を見ることにしたいということだ。

 米国経済が回復過程に乗りFRBが一段の金融緩和策の実施を見送ると、今後、米国の金利水準は上昇する可能性が高まる。ということは、ドルに対する需要が増え、ドル高・円安の傾向が定着する可能性が高まる。為替ディーラー連中は、既にそうしたう動きに反応している。

米国景況感に微妙な変化

 FRBのバーナンキ議長の証言を見るまでもなく、足元で、米国経済の先行きに微妙な変化が出始めている。最近の米国の労働市場の統計を見ても、雇用者数はコンスタントに増加しており、少しずつ米国経済の回復はしっかりしたものになりつつある。

 景気の回復がしっかりしてくると、FRBとしても、追加の金融緩和策の実施を急ぐ必要はない。むしろ、インフレ懸念の台頭を抑えるためにも無理をしてQE3を実施せず、当面、景気の状況を見守る方が有効になるはずだ。今回の下院の委員会で、QE3の実施を示唆しなかったことは、バーナンキ議長がそうしたスタンスに傾きつつあることを示したと考えるべきだ。

 ただ、ユーロ圏の信用不安問題などが燻っており、バーナンキ議長としても全面的に、景気に強気に傾いたわけではない。同氏の発言の中にも、そうした意図を読み取ることができる。ということは、「一部に慎重さを残しながら、一方で順調な景気回復を期待する」というのがFRBの基本スタンスとみるべきだ。

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