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独占インタビュー 原発の地下に地震の巣を発見 もしもの場合は日本中に放射能が撒き散らされる そのとき日本は破滅する?
「福島第一原発直下型地震(M7クラス)」
を予測する東北大学教授に聞く

「福島第一原発の地下を震源とする、M7クラスの直下型地震が起きる可能性があります。この揺れに耐えられるよう、早急に原発施設の耐震強度を上げるなどの対策が必要です」こう警告するのは、東北大学「地震・噴火予知研究観測センター」の趙大鵬教授である。

 趙教授は中国北京大学理学部を卒業後、東北大学大学院で博士号を取得。'91年から7年間は米国カリフォルニア工科大学などに留学、その後に愛媛大学教授を経て、'07年から現職という経歴の地震学者だ。

 その趙氏を中心とする東北大の研究グループが最近、欧州各国の地震学者らで構成する機関「欧州地球科学連合」の学術誌に、衝撃的な論文を発表した。「地震波トモグラフィー」という最新の科学を用いた研究の結果、福島第一原発付近の地下にM7クラスの大地震を引き起こす〝地震の巣〟がある可能性が出てきたというのだ。

 以下、趙教授に話を聞いた。

いますぐ耐震強化の施策を

「地震波トモグラフィー」とは、地震波が伝播する時間を計って地球内部の構造を画像化し、これをもとに地表から地下200kmまでの地層構造を解析するものです。

 医療分野における「CTスキャン(コンピューター断層撮影)」を思い浮かべてみてください。CTスキャンで身体の内側を診るように、地球内部の構造を画像化するのです。

 その結果、福島第一原発近くに、異変があることが分かりました。

 私たちのチームは昨年4月11日に起きた東日本大震災の余震と見られている「いわき地震」(M7)の調査・研究をしていたのですが、その際、すぐ近くの福島第一原発地下の地層も一緒に調べてみました。

 すると、M7の地震が起きたいわき市の地下と、原発の地下の構造が、非常に似ていることが分かったのです。構造が似ている以上、同じ規模の地震が起きる恐れが十分にあります。

趙教授の資料をもとに本誌作成(左図)。膨大な量の4号機使用済み燃料棒が危機に

 その地下の構造とは、どんなものなのか。

 まず、福島県の沖合では、太平洋プレートが毎年7~10cmの速さで日本列島の下へと潜り込んでいます。このとき、プレートとプレートの境界面では、摩擦熱と高圧力が発生します(左の図参照)。

 太平洋プレートは、もともと海側のプレートですから、岩盤の中に大量の水分を含んでいます。その水分は摩擦熱と圧力によって地表へ向かって上昇していき、やがて活断層へと浸潤していきます。これが、地震を引き起こすのです。

 趙教授は分かりやすい喩えとして、親指と中指を擦り合わせて弾く、いわゆる〝指パッチン〟の動作をして見せた。

 指が乾いている時は摩擦が大きいので滑りにくい。しかし、指を水に濡らすと摩擦が小さくなり、滑ってしまう。これと同じことが、原発近くの断層で起きる可能性があるという。

 先ほどの「地震波トモグラフィー」による画像を解析した結果、福島第一原発の地下に、巨大な水柱のようなものがあることが分かっています。この水が、近くにある「双葉断層」という活断層に入ると、断層が滑って直下型地震が起きる可能性があるのです。

 実は、これと同じ原理で発生した地震のひとつと考えられるのが、'95年の「阪神・淡路大震災」(M7・3)です。阪神・淡路大震災でも、われわれの解析では、震源周辺に大量の水が存在していたことが分かっています。水がフィリピン海プレートとの摩擦面から活断層まで上昇、断層が滑って直下型地震が発生した、と考えられるのです。

 趙教授によれば、阪神・淡路大震災以外にも、'05年の「福岡県西方沖地震」(M7)、'08年の「岩手・宮城内陸地震」(M7・2)という二つの直下型地震も、同じメカニズムで起きている。実は水の力によって断層が滑る現象は、以前から地震・火山学者の間では良く知られた事実だという。

 今回想定している地震は直下型なので、津波の心配はありません。しかし、3・11の大震災の直後にいわき地震が起きている以上、同じメカニズムにより、双葉断層でも地震が起きる可能性はあるのです。

 東京電力には、地震に備えた耐震強化の施策をお願いしたい。私たちの研究論文は、政府の地震予知連絡会にも報告されていますから、東電も読んでいると思います。

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