AIJ投資顧問の伝説の営業マン・浅川和彦社長は「ブラックボックス」に何をぶち込んだのか?
ナスダック元会長のバーナード・L・マードフ〔PHOTO〕gettyimages

「日本版マードフ事件になるよ」

 旧知の外資系証券マンに、こう耳打ちされたのは、金融界を襲ったリーマン・ショックが、少し落ち着いた3年前の冬だった。

 AIJ投資顧問は、日経平均オプションの「売りポジション」を取っているのに、「あり得ないパフォーマンス」だというのである。

 確かに、リーマン・ショックで金融界全体が打ちひしがれている時に、メインファンドで7・45%の利回りである。

 耳目を引くには十分で、ナスダック元会長のバーナード・L・マードフの330億ドル(当時のレートで3・3兆円)詐欺には遠く及ばなくとも、もしそれが「10%の運用」と偽ったマードフ事件と同じ構図なら、顧客に厚生年金基金が多いということなので、社会問題化するのは確実だった。

 社長は野村證券出身の浅川和彦氏で、取締役の松木新平氏は、総会屋が絡む証券不祥事で野村證券常務を退任、1997年5月、東京地検特捜部に逮捕された人物である。

 野村證券の同僚に聞く浅川像は、「抜群の成績を残した伝説の営業マン」で、松木像は「CB部長や株式部長を歴任した相場の読める男」だった。