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憤怒レポート第9弾 国家公務員は退官後もウハウハ「天下り天国ゾンビ団体」に怒れ!
通勤の途上、本誌の直撃に答える山腰理事。総務省のお墨付きであることを強調して、団体の正当性を語った〔PHOTO〕片野茂樹(以下同)

 もはや役割は終えているのに存続する独立行政法人や社団法人。年に3000億円超もの税金が注ぎ込まれている団体や、天下り理事が9人もいた団体まである。理事らは月額100万円超の報酬を受け取ってムダ事業を消化するだけなのだ!

 国家公務員給与の7.8%削減がほぼ決まった。与野党が合意したもので、削減した分は復興支援財源に充てられるという。遅きに失した感はあるが、一見、やっと公務員改革が始動したかと思わせる。が、公務員改革のもう一つの柱である、天下り解消のほうは依然として、実現にほど遠い状況なのである。

 民間と比較にならない高給など、公務員の厚遇問題を追及してきた本誌は、今回、独立行政法人(独法)や社団法人など外郭団体への官僚の天下りの実態を追った。その中で特に問題視せざるを得なかったのは、本当に必要かどうか怪しい団体が数多くあるということだ。その代表格として12団体をまとめたのが、次ページの表である。同リストを選定したジャーナリストの若林亜紀氏が説明する。

(表註)各団体のHPに記載された事業報告書などをもとに本誌が作成。(社)は社団法人、(独)は独立行政法人、(株)は株式会社。天下り対象者は各団体の理事以上
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「選んだ基準は、まず、役目を終えたことがはっきりしていること。もう一つは、'10年の『事業仕分け』で政府が事業を廃止すべきと結論づけた法人です」

 死んだはずなのにどっこい生き残っている12の「ゾンビ団体」。その詳細は表でご確認いただくとして、本稿では主要なダメ団体を検証していこう。

 まず、(社)デジタル放送推進協会(Dpa=ディーピーエー)である。地デジ普及促進とアナログ放送終了を周知させるために'07年に発足した団体だが、地デジ化は昨年の7月でほぼ終了した。それなのに、総務省は'12年度にも地デジ関連で305億円の予算を計上した。前年度の予算が約350億円だからほとんど減っていない。

「先に額を決めてから予算の積算根拠を作るのが彼らの手法です。一度予算を組んだら、その分は放さない。自分たちの利権と考えているのです。天下りポストも増える一方です」(行政改革問題を追及するジャーナリスト・北沢栄氏)

 その'12年度の予算305億円のうち200億円強がDpaに回される。そもそも、'10年度の決算を見ると、Dpaの総収入は約347億円で、そのうち補助金が約280億円。実に8割以上を占める。ほぼ補助金で運営されていると言っていい。『地デジ利権』の著書がある世川行介氏が批判する。

「Dpaは、理事長に日本テレビ最高顧問、専務理事にNHKの元プロデューサー、以下、家電メーカーの幹部らが名前を連ね、総務省からも官僚二人が天下っています。官・放送・メーカーの癒着の象徴のような団体です。典型的な、補助金に依存する公益法人と言えます」

 Dpa側はどう反論するか。理事・北原俊史氏は本誌にこう話した。

「当団体は社団法人で、利益を目指しているわけではありません。地デジ化に対する受信者支援を進める国のお手伝いをしているだけ。補助金事業として行っているだけです。確かに地デジ化は終わりましたが、それでおしまいではないし、仕事がなくなったわけではない。後始末をするにもおカネがかかるのです」

 天下り批判については、

「まあ、そういういろいろなご意見を持つ方がいらっしゃるのも、民主主義国家として当然だろうと思います」

今年5月に開業する東京スカイツリー。地デジの象徴だが、お祝いムードに隠れて悪事は今なお継続中だ

 と馬耳東風である。『地デジにしたいなんて誰が言った!?』の著者であるジャーナリストの荒川顕一氏が言う。

「地デジ化のどさくさにまぎれて、総務省が自らの天下り先確保のために、関連団体を乱立したとしか思えない。理事の報酬も月額140万円と高額です。ボーナスも加えれば、年収2000万円はあるでしょう。退職金も出ます。そもそも難視聴地域が生まれることが分かっていたのに、地デジ化を強行して、難視聴地域をサポートするなんておかしな政策です」

 総務省からの天下り理事の一人、山腰明久氏を直撃した。

---すでに地デジに移行しているのになぜそんなに予算が必要なのか。

「昨年の300億円を超える予算から200億円に減額している。それに、業務もある」

---200億円強は多すぎるのでは?

「総務省が決めたことだから。うちは総務省の(業務を行う業者の)公募に対して応募しただけです。私たちはお手伝いできればと思っていることですから」

---具体的に何に使うのか。

「今年は難視聴対策もあるし、衛星放送受信の設備整備などのための費用です」

 総務省の方針どおりにやっていることだから、自分たちが批判を受けるいわれはないというわけである。総務省OBに聞くだけムダということか。

独法向け予算は約3兆円!

 天下りが4人もいるのが(株)農林漁業信用基金である。'09年度には9人もいた。'10年度の補助金は35億円。同基金は、「理事長を含めた理事は7人と決まっていて、'09年度は新旧の入れ替えが行われた時期で数が増えています」と説明する。しかし、業務自体は事業仕分けでも無意味と酷評された。

 (株)国際観光振興機構も「要らない外郭団体」の一つだ。'08年に観光庁が設立され、存在する意味がなくなっているのに、いまだに残っている。'10年度の補助金は19億円、天下り一人。同機構の元職員が告発する。

「外国人観光客の誘致が主な目的ですが、昨年の震災前には年間800万人ほどに増えた。数字だけ見ると頑張っているようですが、そうとは言えません。増えた一番の大きな理由は諸外国の経済が発展したこと。次が政府がビザの発給条件をかなり緩和させたこと。ですから、機構や観光庁が自画自賛しても虚しいですよ。近年は市町村ごとに諸外国の都市と交流を深めたり、民間でも温泉街などの観光地が旅行会社と組んで、外国人観光客の誘致に熱心に取り組んでいる。客観的に見て、明日この機構がなくなっても誰も困りません(笑)」

 (株)都市再生機構(UR)は'10年の事業仕分けで、中島隆利衆院議員から、「財務省や国土交通省出身の役員が13人、職員が200人近い天下り天国だ」と厳しく批判された。特に11兆円に上る債務を抱える賃貸住宅事業の縮減を求められた。しかし、現在も天下り理事が4人いる。

 天下りとは逆に、「天上がり」を実施する団体もある。(株)国民生活センターは、'13年度中に中央省庁に統合されることが決まっているが、その際、職員を全員、国家公務員として採用するという。公務員の人件費削減が急務の折に、何を考えているのか。他にも年に3000億円以上もの税金が注ぎ込まれる㈱住宅金融支援機構などは、民間銀行のローンの充実を考えれば不要。問題法人は目白押しだ。前出・北沢氏が言う。

「独法の数を減らすことによって、逆に組織が大きくなって、権限がついて予算を多く取れるようになる。結局、天下り官僚にカネが流れる構図は変わりません。独法は廃止もしくは、民営化の二択のみにするべきです」

 国の独法向け財政支出は、'11年度政府案で2兆9881億円。スリム化すればまだまだ支出は減らせるはずなのに、多くの血税が不必要な団体と天下り役人の給与に消えている。前出・若林氏が言う。

「ムダな独法と天下りをなくせば、消費税を上げずに済むのです。消費税増税は、政治家や役人による庶民からの搾取です。我々国民は、昨年の中東の春のような抵抗をしてもいいくらいバカにされている。絶対に許してはいけません」

 消費税増税がどうしても必要などという政府の詭弁に騙されてはいけない。

「フライデー」2012年3月9日号より

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