「普天間移設問題」は鳩山政権内の権力闘争だ
官僚vs非官僚のバトルに首相は決断できるのか

 沖縄の米海兵隊普天間飛行場移設問題に関し、「誰が日本国家を支配するか」を巡って、官僚と政治家の間で新たな権力闘争が始まっている。ただし、今回は、官僚の意向を体現した政治家が表面に出ているので、事態の本質が見えにくい。

 官僚の利益を体現しているのが国民新党の下地幹郎衆議院議員(沖縄1区)だ。

 現在、下地氏は、平野博文内閣官房長官、北澤俊美防衛大臣とともに、普天間飛行場を是が非でも沖縄県内に移設しようと画策している。もっともその背後に控えているのが外務官僚と防衛官僚だ。

 3月8日、下地氏は平野官房長官に本件に関する国民新党案を提出した。国民新党案といっても、実質的には下地氏が取り仕切って作成した案なので、「下地案」と言った方がいい。その内容について、下地氏は6日に那覇で後援者らに説明した。

<6日午後1時半。那覇市内のホテルに続々と人が集まってくる。国民新党が米軍普天間飛行場移設先に挙げる「嘉手納基地騒音低減案」「キャンプ・シュワブ陸上案」を、下地幹郎国対委員長が支援者に説明する会合だ。2案の詳細が初めて公になるとあって、報道陣を含め400人近くが詰め掛けた。

「県内移設を言う沖縄の議員は私一人かもしれない。だが今は普天間の危険性除去が先だ。難しい理想を言って、普天間の状態が続くことは良くない」

 下地氏は、頭に描いた構想を一気に噴出させるかのように1時間、早口で続けた。まだ本土に基地を受け入れる素地がないから、取りあえず「暫定」で県内に移す。その間に対米交渉を続け、15年後に在沖米海兵隊はグアムなどへ国外撤去する-。

「難しいと分かっているが、真剣に解決したい。僕に仕事をやれって言っているんでしょ、皆さん」と理解を求めた。>(3月8日琉球新報)

公約違反が明白な「下地発言」

 しかし、琉球新報の報道によれば、下地氏の説明に対して強い疑念が表明されたということだ。

<下地氏の熱気に覆われた会場の空気が一変したのは、質疑応答に入ってからだった。支援者の男性が「失礼を承知で言う」とマイクを握った。

「県民がせっかく県外移設で一致した。代議士は県外では誰もOKしないと言うが、それなら沖縄もOKしちゃいけない。(政府は)交渉もせずにわれわれを無視している。なだめすかされた雰囲気をまたつくるのは悔しい。県民代表として別の案にしてくれないか」

 男性が着席すると会場から拍手がわいた。男性と同じ思いの支援者が少なくないことを表していた。翻意を促す発言に、下地氏は「今言ったようになれば最高だが、日米関係はそこまではいかない。段階的に基地をなくす」と返した。

 説明会後の記者会見でも、厳しい質問が飛んだ。嘉手納統合案を封印して戦った衆院選との整合性について、下地氏は「僕の公約は県外・海外・県内をゼロベースで基地問題を考えることだった。それにのっとっている」と公約の範囲内と強調した。

 だが、辺野古反対の稲嶺進氏を応援した名護市長選との整合性を問われると「公約違反となれば謝らなければならない」と強気を崩した。>(3月8日琉球新報)

 下地氏が公約に違反していることは明白だ。下地氏は、「権力の文法」に敏感だ。本音では外務官僚も防衛官僚も「下地案」が実現すると思っていない。なぜなら、キャンプ・シュワブ陸上案も嘉手納統合案もかつて米側に拒否された経緯があるからだ。

 しかし、官僚は、沖縄出身の国会議員が、沖縄県内移設を提案したことで、これで普天間問題の解決に向けた突破口を切り開くことができたと考えている。地元の沖縄で窮地に陥った下地氏は、今後、外務官僚、防衛官僚の力にさらに依存して、政治家としての生き残りを図ることと思う。

 ここで、民主党の小沢一郎幹事長が重要な態度表明をした。

<民主党の小沢一郎幹事長が米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で、政府が検討しているキャンプ・シュワブ陸上部(名護市)などの県内移設案について
「(参院選前に政権の)イメージダウンも甚だしく、選挙にならない」
などと否定的な見解を与党幹部に示していたことが7日分かった。

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