日本のホワイト・スペース政策は大丈夫か
危機に立つ米国のスーパーWi-Fi

無免許周波数の早期開放を求めるジュリアス・ジェナコウスキーFCC委員長(2012年国際家電見本市にて筆者撮影、背景はホワイトスペース・データベースの照会状況)

 1月末、米国初のスーパーWi-Fi(ホワイト・スペース)活用サービスがノースキャロライナ州のニュー・ハノーバー郡で開始された。しかし、サービス開始を祝う関係者の心中は決して穏やかではない。現在、連邦議会では"ワイヤレス関連法案"が乱立し、その行方によっては「スーパーWi-Fiビジネスが頓挫する」からだ。保守的な姿勢を示す米連邦議会に対し、電波開放を進めてきた連邦通信委員会(FCC)や民間ロビー団体は苛立ちを隠せない。日本政府は米国を追ってホワイト・スペース政策を進めているが、先行する米国では暗雲が垂れ込め始めている。

米国のスーパーWi-Fi政策とは

 積極的な電波開放政策を進めるバラク・オバマ大統領の意向を受け、FCCは2010年9月23日(現地時間)にデジタル・テレビ放送のホワイト・スペースを「スーパーWi-Fi」と命名して正式開放した。

 以来、FCCの支援を背景に、グーグルやマイクロソフト、シスコ・システムズやスペクトラム・ブリッジ(ホワイト・スペースを狙うベンチャー企業)などが中心になって、同サービスの実用化に力を入れてきた。

 皆さんにとってホワイト・スペース(White Space)は、聞き慣れない言葉に違いない。日本語では「未利用周波数帯域」などと訳されている。たとえば、テレビには番組が映らないチャンネルがある。この見えないチャンネルは、その地域で利用されていない電波で、これをホワイト・スペースと呼ぶ。

 米国の「スーパーWi-Fi」は、テレビ用の電波なので"TVホワイト・スペース"とも呼ばれている。その用途としては、無線LANの代替として家庭やオフィスの無線ネットワークに利用することや、携帯基地局向けの集線網(基地局とネットワーク・センターを結ぶ部分)などへの利用が期待されている。

 また昨年、規格標準化団体のIEEE(アイトリプルイー、米国電気電子技術者協会)が、TVホワイト・スペース用の無線規格(IEEE 802.22-2011)を出したことも注目を浴びた。このスタンダードを使えば、チャンネル当たり22Mbpsで最大100Kmの長距離通信が可能になる。「Wi-Fi on steroids (強化版Wi-Fi)」と別称される同規格を使えば、テレビ放送が少ない僻地で無線インターネット・サービスなどが実現できる。

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