わが国の経常収の黒字支減少=長期的には為替動向に影響
代替エネルギーであるLNG(液化天然ガス)の輸入量が大幅に増加した〔PHOTO〕gettyimages

 2011年のわが国の経常収支の黒字額は9兆6289億円となり、前年対比で43.9%の大幅減となり15年ぶりに10兆円を割り込む結果となった。中でも注目されるのは、貿易収支がマイナス1兆6089億円と48年ぶりに赤字に転落したことだ。貿易収支が赤字に転落した背景には、昨年3月の大震災の影響でサプライチェーンが寸断され、自動車など輸出工業品の生産が低下したことに加えて、原子力発電所の停止に伴う代替エネルギーであるLNG(液化天然ガス)の輸入量が大幅に増加したことがある。

 貿易収支の先行きについては様々な見方があるものの、家電製品などわが国の輸出製品の競争力が相対的に低下していることや、主要な輸入品である穀物やエネルギー資源の価格が世界的に底堅い動きを示していることを考えると、大幅な黒字基調に復帰することは容易ではないだろう。それは、長い目で見ると、為替や株式などの金融市場の動きにも影響を与えるはずだ。

貿易赤字転落には二つの要因

 昨年、わが国の貿易収支が赤字に転落した主な要因は二つある。一つは、3月の未曽有の大震災の影響だ。大震災によって東北地方を中心にサプライチェーンが寸断され、IT関連部品や自動車などの製品を生産することができなくなった。製品が作れないと輸出はできず、輸出が前年対比で1.9%の62兆円余りに減ってしまった。

 一方、原子力発電所の停止などに伴い、火力発電所用のLNG等の輸入増加によって輸入総額は前年対比15%プラスの約64兆円余りに増加した。足元の穀物や天然資源などの商品市況を見ると、大きな人口を抱える中国等の新興国の需要増大などもあり、原油やLNGなどの資源価格は底堅い展開を示しており、今後も輸入の増加は続く可能性が高い。

 もう一つの要因は、わが国の家電などの主力輸出商品の競争力が低下していることだ。薄型テレビやスマートフォンなど家電製品は既に韓国や中国企業の競争力が高まっており、わが国企業の競争力がかなり低下している。特にテレビは、わが国家電メーカーの"お荷物"と言われるほど競争力が落ちている。

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