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人口8000万人、うち3000万人が老人の国になるニッポン
客がいない! 商売が成り立たない!人口激減社会有名企業はこう考える

 大アンケートを実施! 鉄道、コンビニ、デパート、食品、銀行、NHK、ホテル、新聞業、学校、病院、不動産業者ほか「存廃の危機」

 人が減ることの恐ろしさを、まだ日本人は分かっていない。わずかこの20年ほどで1割、1200万人もの人間が消える。何もしなければ、市場も当然1割縮むだろう。この縮小スパイラルがずっと続いていく。

GDPが200兆円分消える

※国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」より作成

「少子高齢化社会は内需が期待できない、また労働力も減っていく。結果的に内需もなくなるという悪循環になる。そのため直接的な影響はないにせよ、オールジャパンで考えた時に内需の落ちていく社会になれば、我々の需要も落ちるという結果になる」(JFEホールディングス)

「人口減少が加速すれば、家庭用のお客さま数が減少する可能性がある。それにともない、家庭用だけではなく、業務用・工業用のエネルギー需要が減少する可能性がある」(大阪ガス)

「当社は映画・演劇・不動産経営の3つの事業を柱としており、いずれもその売り上げのほとんどは国内であるため、将来起こると予想される人口減少は頭の痛い問題だ」(東宝)

 こんな企業の悲鳴が聞こえてくるが、人口減少と市場の大縮小という運命から逃れる術はない。

 国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、これから50年で日本の人口は4000万人以上減る。わかりやすくいえば、1年ごとに新潟市レベルの巨大都市が消えていく「人口激減時代」が幕開けした。しかも消えるのは働き盛りの若者や中年ばかりで、ニッポンは「8人中3人が老人」という人口構成の国になる(左ページ表参照)。

 先週号で詳報した通り、人口激減でニッポンは年金カットや医療費の自己負担の増大など、社会保障が崩壊する危機に瀕しているが、もっと大変なのが企業である。1億2000万人が8000万人になれば単純に市場は4分の3に縮む。しかも年金をもらえない老人だらけで、購買力はグンと落ちる。要するにモノが売れないから、〝商売上がったり〟になる企業が続出するのだ。

 いまから4年前にはみずほ信託、日産自動車、三井不動産、東芝、旭化成、万有製薬など有力企業の経営幹部が委員として参加、社団法人・日本経済調査協議会のもとで『人口減少時代の企業経営』と題されたレポートをまとめている。2004年をピークにして人口減少が始まった実態に「大きな戦争も疫病もない状態での人口減少は、人類にとって初めての経験」と危機感を露にし、日本企業がどうすれば人口激減社会を生き残れるかを約2年間かけて調査・作成した一大レポートである。

 その内容は衝撃的だ。

「市場は縮小し、それに対応する供給力も減退する。もし労働生産性の上昇がなければ、日本のGDPは2025年には16%、2050年には42%も減少する。GDPが4割も縮小する日本は、日本企業にとっても悪夢である」

 当時のGDPは500兆円ほどだから、200兆円もGDPが消えてなくなる計算になる。

 レポートは企業・業界の将来の姿を予測、「余暇需要は減少し、消費者に支持されないレジャー産業は衰退する」といった厳しい文面も書き連ねられていた。

 さらに取材を進めると、人口が激減したときの日本の未来図が詳細に見えてきた。

 すでに過疎化が進んだ地方都市では続々とローカル線が廃線になっているが、今後は「都心部での廃線」が始まる。

「人口激減社会では大都市でも郊外から人が消える。そのため鉄道会社は採算をとるために電車の本数を減らし、終着駅を都心寄りに近づける可能性もある。いまは町田方面まで走っている小田急線が、成城学園前止まりになるかもしれない。すると電車が届かない沿線の土地には誰も住まなくなり、最終的には廃線化するしかない。郊外に街を作り、学校を建て、住民を都心に運ぶ足として収益を稼いできたモデルはもう成り立たない」(セゾン投信代表の中野晴啓氏)

 デパートも消えてなくなる。将来まったく違った「箱」と化す運命にある。

「企業はオフィススペースを簡素化し、パソコンを使って自宅で仕事をするスタイルが推奨されるようになる。これで街から人が消える。一方で消費者はインターネット通販を見比べて、最も安い価格を提示する会社からモノを買うようになる。百貨店は〝展示ルーム〟となり入場料を取る。お客はそこで実物に触りながら、スマートフォンで買い物をするのが未来の消費の姿です」(政策研究大学院大学特任教授の橋本久義氏)

 新聞、テレビなどのメディア業界も厳しい。

「人口減少が進めば購読者や視聴者が減り、企業の数も激減するから広告収入はほとんど入らない。広告が減ればページ数も減るので、新聞は10ページくらいになってしまうかもしれない。高齢者が増えると深夜放送を見る人が減るので、テレビの深夜番組もなくなる。NHKも事業収入の9割を受信料でまかなっているが、世帯人口が2015年にピークを迎えるので、ジリ貧になる。全国紙は2社、民放キー局は3局くらいに集約されるでしょう」(証券アナリストの植木靖男氏)

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