あなたの「孤独」を埋める者があなたからお金を一番抜き取る。「孤独消費」が21世紀の最大の成長産業だ

 私が属している産業は資産運用業で、私はひふみ投信という個人投資家のための投資信託を提供しています。ところが、成績がよくてもマーケティングにはとても苦労をしていてなかなかお金が集まらない。どうしたらたくさんの人に注目をしてもらえるのか、を日々考えています。

 一方で、この業界での最大のヒット商品は、毎月分配型投資信託です。実はこの商品は金融庁から販売に伴う規制がかかり、今後は今までのように売れるかどうかはわかりませんが、この5年間くらい何兆円もの個人金融資産がこの商品に流れていきました。そもそも、なぜこの商品がこんなに売れたのか。本当の理由は60歳以上の高齢者層の孤独を埋めたからだ、というのが私の見解です。

雑談をたくさんすれば営業成績はあがる

 日本の投資信託の販売の現状は以下のようなものです。大銀行や大証券会社の若手の営業が自分のお爺さん、お婆さん世代のご自宅に訪問をします。彼らがたくさん個人金融資産を持っているのを知っているからです。とても感じの良い若者たちです。シニア層から見れば孫のような「子」たちです。そこで、茶飲み話をします。

 たくさん雑談をすることができた人ほど、よい成果をあげることができます。営業では商品の説明をすることより、相手の話を聞いて愚痴を聞いて、雑談をするほうが成果が上がるのです。それは本当の売り物は金融商品ではなく、シニア層の孤独を埋めることにあるからです。

 日本は核家族化が進んでいると同時に、単独世帯が高齢者を中心に増えてきています。一方で非婚化も増えているので、若い世代の単独世帯も増えているのです。無縁社会といわれるのも、このような若い世代からシニア層までも単独世帯が増えていることと関係があるのでしょう。



毎月分配型投資信託は、毎月、分配金が支払われてそれが生活の足しになりますよ、という売り込みで大ヒットしました。毎月投資信託が分配を出すという形でわかりやすい「成果」を見せるという安心感や納得感を売っているわけです。これがある意味、孤独というか寂しさというか「ほっておかれていない」感じを演出しているのだと思います。

 本来の金融商品としての説明をしているというよりは、シニア層に足繁く通って話し相手になることによって、孤独を埋めてあげて、その代償として金融商品を買ってもらうというのが現場で行われている風景です。いや、もちろん、真面目に金融商品を説明して、真面目にコンサルティング営業をしている金融機関もあるでしょうが、現場の話を聞くだに、どちらかといえば「孤独」を埋めているのが実態だと感じます。

 投資信託の開発をしている現場では皮肉を込めて「壺売り」とまで言っています。というのは、怪しい宗教が怪しい教義をもとに高齢者に霊験あらたかな「壺」を高い値段で売りつけているのとあまり変わらないからです。

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