高くついた反アップル戦略 NTTドコモで通信障害続出の真相

2012年02月14日(火) 町田 徹
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 そもそもNTTドコモと言えば、誰もが認める携帯電話業界のガリバーだ。2012年3月期の業績予想をみると、日本企業として最大の4740億円の純利益を稼ぎ出す見通し。稼ぎで親会社のNTTを上回る孝行息子ぶりも健在である。

 サービスの内容についても、これまでは、割高感が拭えない半面、「通信ができないエリアは狭いし、音質もクリアーだ、他と比べて、通話がブツブツ途絶えることもほとんどない」と品質が優れているとのイメージが強かった。

 現在までのところ、アナリストなどの間では、「先行した高速ネットワーク・サービス、離陸し始めたスマートフォン販売と移動通信サービスの高度利用、パケット収益増加に向けた準備は着々と進展中と判断する」(大和証券CM金融証券研究所)と通信障害の影響を軽微と見る向きが少なくないようだ。

 とはいえ、相次ぐ通信障害が災いしたのか、電気通信事業者協会によると、1月の携帯電話の純増数(新規契約から解約を引いた件数)はわずか8万5800件と、ソフトバンクモバイル、KDDIの後塵を拝して3位に転落した。3位転落は、昨年10月、11月に続く事態である。

 それゆえ、「今後の挽回次第」と前置きしつつも、「まさに強みであったネットワーク面で問題が頻発したことで、ドコモと契約しておく意味がなくなったと判断、利用者が他社に流れ出すリスクは小さいとは言えない」(総務省中堅幹部)とみる専門家も存在する。

 そこで注目したいのが、このような事態が起きた本当の原因だ。

 NTTグループでは、筆者の取材に対して「基本的には、スマートフォンなどによる通信量の急増。急増ピッチを低く、甘く見積もったということだと思います」と説明している。

 おそらく、こうした説明を受けてのことだろう。新聞各紙の報道を見ても「甘いインフラ想定」「ネット技術者不足」「iモードが足かせ」(いずれも2月5日付日本経済新聞)といった解説記事が溢れている。

 こうした説明や報道をハナから否定する気は毛頭ない。もちろん、そういう問題も背景には存在するだろう。

 ただ、経済ジャーナリズムとしては、そうした現象面だけではなく、なぜ、スマートフォンの急普及の影響に対する見積もりが甘くなったのか、なぜ、そうした事態に備えて、地道に技術者を育成していなかったのかといった問題の底流に、さらに本質的な問題が存在していることを指摘しておく必要があるはずだ。

 というのは、過去2年あまりの間、ドコモの経営判断には、短期的なビジネス上の損得勘定を超えて、ある会社に対して、目にモノ見せずにはおかないとでも言わんばかりの鬼気迫る競争意識が見て取れたからだ。

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