高橋洋一「ニュースの深層」
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バーナンキ発言、「物価目標」、銀行の国債暴落シミュレーションーー日銀の情報操作に踊らされ過去の事実までねつ造する「マスコミ報道」を検証する

2012年02月13日(月) 高橋 洋一
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 かつてなく国会で日銀法改正が盛り上がっている。みんなの党だけなく、自民党、公明党からもその声が上がり始めた。それに呼応して、日銀が情報操作を国会議員やマスコミに行っている。

先週の本コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/31737)で、日銀は、FRBのインフレ目標の導入という不都合な事実について、国会議員やマスコミなどに「あれはインフレ目標ではない。バーナンキもそういっている」と説明していると書いた。中には、レベルの低い日銀職員もいて、FRBは"GOAL"を決めたが、"TARGET"ではないとか滅茶苦茶な説明をしている者もいた。これは論外としても、前原誠司民主党政調会長などは、日銀の言うことを鵜呑みにして話をしている。

バーナンキの原文を読めばウソは一目瞭然

 バーナンキFRB議長の発言の出所は25日の記者会見だ。これは公開されている(http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcpresconf20120125.htm)ので、英語さえわかれば日銀の説明のデタラメさはすぐわかる。

ドイツのフランクフルター・アルゲマイネ紙の記者から「物価の安定はゼロでないか」と「インフレ目標か」とのふたつの質問があった。バーナンキ議長は、かつてプリンストン大学での授業のように、「すばらしい質問だ」といいながら、はじめの質問にはつぎのように回答した。

「統計上の上方バイアスやそのほかの問題もあって、インフレ率0%は物価の安定と整合的でない。・・・まず半分くらいデフレ圧力の中で生活しなければいけない。デフレは経済パフォーマンスを悪くし、雇用環境も悪くすることが多いので、0%のインフレ目標はFRBの責務に反する。・・・インフレ率2%は、欧州中央銀行(ECB)その他のほとんどの中央銀行が使っている数字だ。それはほとんどの中央銀行で行っていることと少しも違いはない」

さらに2番目の質問には、「もし、”インフレ目標”を物価最優先して雇用などを二次的なものとするということを意味するのであれば、その答えはノーだ。というのは、FRBは二つの責務をもっているからだ」と答えた。
 

 後者の答えから、日銀の情報操作は明らかだ。物価だけみれば”インフレ目標”であるが、FRBは、普通の国の中央銀行と違って物価の安定と雇用の最大化の二つの責務があるので、物価だけを目標とする”インフレ目標”でないといっただけだ。その証拠に、その後に、バーナンキ議長は「物価安定の目標達成を遅らせた方が雇用に良いなら、喜んでそうする」といいきっている。それなのに、日銀が「インフレ目標でない」といいたいがために、バーナンキ議長の発言の一部のみを取り上げるのはやり過ぎである。

次ページ しかも前者のバーナンキ議長…
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