この国はきっと滅びる! 就活のバカたち 学生もバカなら、面接官も大バカ

2012年02月16日(木)
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 作家の曽野綾子氏は、そんな嘘にまみれた昨今の就職活動の様子を深く嘆いている。

「今の採用面接は、本人の美点ばかりを聞いて、学生は準備した模範回答を淀みなく答える。採用する側も面接を受ける側も嘘っぽい。そんな面接をしたところで、専門知識以外の教養や人としての厚み、個性がわかるはずがない。これでは、本当にその人のことを理解したとはいえません。

 自分の美点を人前で恥ずかしげもなく披露できる人は、他者の視点で自分を見ることができていないということです。だから平気で『自分はリーダーに向いています』なんて面接で言ってしまう。周囲は『出しゃばりな奴だな』と思っているかもしれないでしょう。自分のことをこうだと思い込むと、結局は自分勝手で幼稚な自己表現しかできなくなると思います」

 都内のW大学に通う男子学生は、ある企業で受験した5人1組の集団面接で、この「幼稚な自己表現」を目の当たりにした。

「自己紹介を求められた途端、端の席にいた男子学生が勢いよく立ち上がり、『はい! 僕は大学で演劇を始めました。ずっと暗い性格でしたが、演劇を始めて別人に生まれ変わることができました!』と、部屋中に響き渡る大声で話し始めたんです。

 みんなあっけにとられていましたが、考えてみると彼の回答はおかしい。演劇をやっていることはアピールできていても、全然自己紹介になっていません」

 彼がこんな行動に出た理由は、面接での過酷なPR合戦を乗り越えるために、学生たちがこぞって取り組む〝自己分析〟にある。自己分析とは「これまでの人生を徹底的に振り返り、自分がどんな人間かを語れるようにする」ことだ。就活の現状を是正することを目的としたNPO〝DSS〟代表で人材コンサルタントの辻太一朗氏が解説する。

「『小学校時代にいちばん悲しかったことは何か』『自分の嫌いなところはどこか』『10年後、自分は何をしていると思うか』こういった、一見他愛のない、しかしよく考えると答えようのない設問に答えることが〝自己分析〟だとされています」

心にもないことを言わせる

 つまり先の学生は、自己分析で「演劇」が自分にとって最も重要だという結論に至り、何を聞かれてもその話をしていたわけだ。

「面接対策として、ある程度の自己分析をする必要はあるかもしれません。しかし、没入しすぎて『自分はこういう人間だ』と自己暗示をかけ、それに縛られてしまうことが多い。せいぜいバイトかサークル活動といった浅い人生経験で、自分はこういうタイプの人間だと決めつける。自分で自分の可能性を狭めてしまうことにもなります」(辻氏)

 二十歳そこそこの若者が、必死で禅問答に取り組み〝自分史作り〟に励む。その姿は、大人から見ればどこか気味が悪くもある。

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