『週現熱闘スタジアム』第2回 東大合格者数30年連続1位 開成中学高校を語ろう

2012年03月28日(水) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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橋本 1学年400人のなかで、だいたい180人が東大に行く。半分近くが入る計算です。だから、開成では、平均よりだいぶ下の成績の生徒でも、とりあえず東大を受けます。

 一般的にはいちばん優秀な人は東大の理Ⅲ(多くは医学部に進む)に行くと思われていますけど、私は教師として30年以上開成を見てきて、本当に優秀な生徒は理Ⅲじゃなくて、工学部や理学部に進む理Ⅰに進学するような気がする。もちろん理Ⅰには毎年1100人も入れるわけですから、上と下はありますが、上の方は図抜けている。

 例えば、センター試験の数学などは、すべて暗算で解けてしまう子がいます。途中式も計算も一切書かないので、問題用紙は真っ白なんです。だから制限時間60分のところを開始10分ほどで解答と見直しを終え、暇になって寝てしまう。この話を生徒から聞いたときは、私も驚きました。

井上 天才的なヤツというのは確かにいますね。

橋本 開成OBで言えば、おそらく前校長でもある芳野俊彦さんなどがそうでしょう。光ファイバーの世界的権威で、ノーベル賞受賞の噂もあった。同じくOBで現校長の柳沢幸雄さんはあのシックハウス症候群を発見した方です。

 医学っていうのは具体的なんです。つまり彼らにとっての対象はあくまで人間と決まっている。ところが理Ⅰは、宇宙とか、ロボットとかで、大変な想像力が必要となる。

 たとえば、開成時代学年で成績トップだった鄭雄一さんは、理Ⅲに入りましたが、医学部を卒業した後、いまは東京大学大学院の工学系研究科で教授をやっている。

教科書はほとんど使わない

井上 同級生たちにも驚かされましたが、開成の先生方にはもっと面食らいましたね。とにかく破天荒な先生が多かった。現代文の某先生なんて、教壇の椅子にドカッと座ったきり、ひと言もしゃべらない。自習といえば自習なんですけど、要するに生徒たちに好き放題にさせておく。

 中1のときの担任だった英語の先生なんて、半分くらい学校に来ないんですよ。来ても、授業はほとんど麻雀の話しか人生訓。だから生徒の人気は高かった。

 もちろんまともな先生もいるんですが、受験向けの勉強はほとんどしなかった。「この学校大丈夫だろうか」って思いました(笑)。

橋本 私の時代にも一風変わった先生はかなりいました。生物の石川光春という先生がいて、この人は1年間、最初から最後までイチゴの話しかしなかった。

井上 1年間、イチゴだけですか。

橋本 そう。もともと旧制一高の教授をしていた人で、戦後東大教授の誘いを蹴って、開成に来られた先生です。非常に碩学な方でしたね。でも授業はとにかくイチゴ。だから、イチゴの分類から生態、遺伝にいたるまで、イチゴに関するすべてを教わった。

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