牧野洋の「ジャーナリズムは死んだか」
2012年02月09日(木) 牧野 洋

マスコミの「無知」が国のルールをゆがめる、バフェット流投資が不可能になった日本、村上ファンド批判に迎合し問題点を無視していた新聞報道

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ウォーレン・バフェット〔PHOTO〕gettyimages

 「最も成功した投資家」と呼ばれ、数兆円に上る自己資産の大半を寄付に回すと宣言した慈善事業家でもあるウォーレン・バフェット。イスラエルなど海外投資に積極的になっているというのに、日本株にはいまだに手を出していない。投資家として半世紀に及ぶキャリアを持ちながら、初来日は昨年11月だ。

 バフェットは日本株を買いたくても買えないのではないか---今月7日付フジサンケイビジネスのコラム「日本にバフェットが登場しない理由」で私はこんな指摘をした。2006年に旧通産官僚の村上世彰が率いる投資ファンド「村上ファンド」が摘発され、日本中でハゲタカファンド批判が渦巻くなか、世界的にも異例のルールが導入されているからだ。

 異例のルールとは、2006年6月の金融商品取引法成立によって翌年1月1日から施行された改正大量保有報告制度(5%ルール)だ。一言で言えば、これはと思った銘柄に集中投資するバフェット流投資を実質的に不可能にするルールである。

 にもかかわらず、当時のマスコミはハゲタカファンド批判に迎合するばかりで、問題点を無視していた。本質を見抜く力がなかったのかもしれない。結果として資本市場のルールをゆがめ、日本経済の「ガラパゴス化」に拍車をかける格好になっている。

 改正5%ルールの下では、バークシャーのような機関投資家が特定企業の株式を5%超取得した場合、2週間に1回報告しなければならない。3ヵ月に1回だった改正前でも「非常に厳しい」といわれていたのに、である。通常1年に1回のアメリカと比べると26倍の頻度で報告しなければならない計算になる。

 バフェットがこれはと思って大量取得した「バフェット銘柄」が判明するまでにどのぐらいの時間がかかるのだろうか。いったん判明すればいわゆる「ちょうちん買い」で株価が急騰するのは必至だ。だとすれば、バフェットはできるだけ長い間保有銘柄を伏せておきたいのではないか。

次ページ  その通りである。昨年に最も注…
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