司令塔「復興庁」が2月10日発足
10年間の時限組織、被災3県に「復興局」[震災]

復興庁設置に伴い初代復興相に就任する平野達男担当相(左)=青森県八戸市で11年10月30日

 東日本大震災の復興施策の司令塔となる復興庁が2月10日に設置される。復興庁設置と同時に平野達男復興担当相が初代復興相に任命されるほか、副大臣2人も増員され、震災発生から11カ月を経て政府の被災地支援態勢が整うことになる。復興庁は国の復興施策をリードすると同時に、被災自治体の相談や要望にワンストップで対応することで被災地復興を後押しする役割が期待されている。ただ、復興庁が既存省庁の縦割りの壁を超え、復興施策で主導的な役割を発揮できるのかは未知数だ。

 復興庁は昨年12月成立した復興庁設置法に基づき、震災発生から10年後となる2020年度末までに廃止される時限組織。首相がトップを務め、復興相が事務を統括。国の復興施策の企画・総合調整のほか、被災地に規制緩和や優遇税制を行う復興特別区域(特区)の認定や、幅広い事業に使える復興交付金の配分などを担う。

 復興庁の職員は250人規模。復興庁の本部は東京に置き、岩手、宮城、福島3県に出先機関の「復興局」を設置する。さらに、沿岸部の被災自治体との連携を強化するための「支所」を岩手、宮城、福島3県に計6カ所配置。青森県八戸市と茨城県水戸市にも「事務所」を開設する。

 省庁縦割りの弊害を廃し、復興施策を主導的に進める目的で、復興庁には強い権限が与えられている。復興相は他省庁に復興施策に関して勧告する権限を持ち、各省庁はその勧告を尊重するよう義務づけられた。さらに、これまで既存省庁が行っていた復興関連の予算要求や、具体的な実施事業を決める「箇所付け」までを復興庁が一元的に担う。ただ、本格的な復興予算が計上された11年度第3次補正予算は成立し、12年度当初予算も編成済みのため、実際に復興庁が予算要求・配分を行うのは13年度当初予算か、早ければ12年度補正予算からとなる。

 復興施策を政府全体で推進するため、昨年6月発足した政府の復興対策本部(本部長・野田佳彦首相)に代わり、復興庁に全閣僚がメンバーとなる復興推進会議を設置。また、昨年6月に復興への提言をまとめた「復興構想会議」(議長・五百旗頭真防衛大学校長)の後継組織として、有識者や被災自治体首長ら15人で構成する「復興推進委員会」が新設される。

申請・要望にワンストップ対応

 「本格的な復興予算である第3次補正予算が成立し、復興交付金、復興特区、そして何より2月からスタートする復興庁。こうした道具立てもそろえた。これらをフル回転させていきたい」。野田首相は1月の民主党大会で震災復興をスピードアップさせる決意を示した。

 復興庁の母体は、昨年6月に発足した政府の復興対策本部事務局(峰久幸義事務局長、職員約150人)だ。復興対策本部は被災自治体の復興計画策定の支援を行っているほか、1月末には被災自治体から復興交付金の第1回申請を受け付けており、復興庁の業務のほとんどは復興対策本部の手掛ける業務の延長線上にある。

 それでは、復興庁の設置で何が変わるのか。重要なポイントは、被災自治体からの復興施策に関する相談や申請を一元的に受け付ける「ワンストップ対応」を行うことだ。

 被災自治体は現在、東京・霞が関の既存官庁に出向いて相談や陳情を行っているが、復興庁設置後は東北3県に設置される復興局が被災自治体に一元的に対応する。被災自治体はわざわざ東京に出向いたり、省庁のたらい回しに遭うことがなくなり、復興のスピードアップにつながることが期待されている。

 復興局が被災地の相談や要望に迅速に対応できるかどうかは、各復興局の人材に負う面が大きい。復興庁は、東北3県の復興局にはそれぞれ職員約30人を配置。国土交通省地方整備局など現地の国の出先機関の職員も復興局員を兼任させる。さらに自治体や民間から都市計画などの専門知識を持った人材を登用し、ワンストップ対応の態勢を整える方針だ。

 また、復興特区制度の円滑な運用も復興庁、復興局の任務となる。復興特区制度は、規制緩和や税制優遇などの特例メニューを国が用意し、被災自治体が活用する特例を選ぶ仕組みだ。一方で、被災自治体は各県ごとに設置される「国と地方の協議会」で国に対して特例措置の追加・拡充を求めることができる。この協議会は各県の復興局が事務局を務める。

 政府が1月に閣議決定した復興特区の基本方針では、被災自治体の特例の追加・拡充の提案に対し、国は「代替案の提案を含め、前向きな議論を実施する」と積極的に対応することが明記された。被災自治体には「実情に即して必要な特例があれば国に要望したい」などと特例の拡充に対する期待感が高まっている。

 復興庁が被災自治体からの要望を実現するため、各省にまたがる課題を調整し、被災地の復興に貢献する支援の枠組みを提供することができるか、真価が問われることになる。

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