町田徹「ニュースの深層」
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「原発規制庁」は安全の守護神になれるか?
「手続き」より深刻な「組織」の欠陥も

2012年02月07日(火) 町田 徹
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国会の東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)の黒川清委員長〔PHOTO〕gettyimages

 原子力の安全確保の切り札として、政府が、今年4月の設置を目指している「原子力規制庁」のあり方に大きな疑問符が付きつけられた。

 問題を提起したのは、国会の東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)の黒川清委員長だ。同委員長は今月2日、異例の声明を公表し、野田佳彦内閣が先月末、規制庁設置関連法案を閣議決定したことに対して、「行政組織の見直しを含めて提言する国会の事故調が調査をしている最中であるにもかかわらず、(政府が)組織のあり方を定めた法案を決定したことは理解できない」と厳しく批判した。

 黒川委員長の批判は的を射た議論だ。しかし、問題は、そうした設置手続きにとどまらない。

 というのは、規制庁は組織としてのステイタスが低いうえ、非常時の指揮命令系統が複雑で、福島原発事故と同じ失敗を繰り返す恐れが大きいからだ。これでは、原子力の安全は「絵に描いた餅」である。

 2月2日の黒川委員長の声明文は、事故調のホームページに掲載されているので、詳細はそちらを参照して頂きたい。 

 福島原発事故を巡っては、作業員全員が退避せざるを得なくなった場合に断続的な放射性物質の大量放出が1年程度続くとされた「最悪シナリオ」(内閣府の近藤駿介原子力委員長が作成)をなかったものとして封印していた問題や、事故の対応のために設置された「原子力災害対策本部」の議事録がまったく残されていなかった問題が1月下旬に相次いで露呈し、政府への信頼は地に堕ちている。

次ページ  そうした中で、黒川・事故調は…
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