New York Sophisticated
2012年02月05日(日) 茂木 崇

閉鎖されたホテルを舞台に、観客が自ら体感する演劇「スリープ・ノー・モア」の魅力

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(l-r) Nicholas Bruder and Sophie Bortolussi with audience members © Robin Roemer Photography

 開業がなされぬまま長年にわたって放置されてきたホテル。中にはヒッチコック映画を彷彿とさせる不気味なインスタレーション。そこで無言で繰り広げられるシェイクスピアの「マクベス」をモチーフとしたパフォーマンス。観客は「オペラ座の怪人」の怪人と同様の仮面をかぶり、無言で見て歩く。

 第56回ドラマデスク・アワードで独創的演劇経験賞を受賞した演劇作品「スリープ・ノー・モア」。今回はこの作品をご紹介する。

観客ごとに異なる演劇体験

 公演が行われているのはマッキトリック・ホテル。マンハッタンの10番街と11番街の間の27丁目、530番地にある。エリアとしてはチェルシーにあたる。

 このホテルは1939年に完成し、ニューヨークで最も華やかでデカダンのホテルになるはずであった。だが、第二次世界大戦の開戦から2日後、開業予定の6週間前に閉鎖され、開業することはなかった。

 ホテルに到着した観客は、まず全ての荷物をクロークに預けるよう求められる。

 ついで、受付で名前を告げると1枚のトランプのカードを渡される。

 これを持って真っ暗な廊下を壁伝いにひとしきり進んでいく。すると、温かなラウンジが目の前に現れ、ホストが迎えてくれる。

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