新研究 あの著名なミュージシャン、作家、画家・・・ なぜ天才にゲイが多いのか

2012年02月09日(木) 週刊現代

週刊現代賢者の知恵

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 あるいは、前出の『ゲイ文化の主役たち』の著者でヴァッサー大学のポール・ラッセル教授はゲイの二重性に着目する。

「ゲイはマイノリティとしてかつてひどい扱いを受けてきたため、礼儀正しく、かつフレンドリーな傾向があります。また、自分たちゲイの世界だけでなく、異性愛者の世界も理解しようと努めます。そういう意味でゲイは並行して2つの世界に住みながら物事を考えている。この環境が特殊な発想につながる可能性はあります」

 ラッセル教授は、こうした理由から天才にはゲイが多いと安直に考えることに対しては警鐘を鳴らす。

「少なくとも特に同性愛者に天才が多いという統計はありません。天才にゲイが多いと感じるとしたら、ゲイに天才がいるだけで目立つからでしょう。

 ある自著のなかで、私は異性愛のセックスシーンを5回、同性愛のセックスシーンを2回書きましたが、読んだ人に聞くと、回数の多い前者はまるで忘れていたのに、後者のことは克明に覚えていました。ゲイとはそれだけで注目を集めるものなのです」

 フランス文学者の鹿島茂・明治大学国際日本学部教授は、文学的なアプローチで、ゲイと天才の密接な関係を紐解く。

「文学作品においては、まず異性愛がわからない、というのがポイントになります。

 たとえ作品の中で異性愛が描かれていても、ゲイ作家には異性愛の感覚が理解できないため、それを別のものに置き換えて書くことになる。

 結果として普通の異性愛とは違う非常にふしぎな世界を描くことになります。それが文学性を生むことがあるわけです。

 またゲイ作家は、わからない異性愛をどうにか描こうとするために文章に様々な工夫を凝らす。その結果、文章技巧が発達する。

 だからゲイの作家には文章の美しい作品が多いのです。この典型例が三島由紀夫の作品だと思います」

20世紀から急増した

 自分では理解できないものを表現しようと悪戦苦闘した末に、ゲイ作家は、流麗な文体を手に入れた。鹿島氏はさらに、作家だけでなく、芸術家全般にゲイが多い理由についても解説する。

「そもそも創作物とは、男性原理に女性原理が混じった時初めて芸術になるものです。

 例えば韓国映画はこれまで男性原理偏重で軍隊を描いた作品ばかりでしたが、近年女性原理を取り入れ始めて世界的に受け入れられるようになった。

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