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新研究 あの著名なミュージシャン、作家、画家・・・
なぜ天才にゲイが多いのか

週刊現代 プロフィール

「脳の性差を調べる過程で、同性愛者と異性愛者の間においても、脳の構造に差があることがわかりました。大きく違うのは前交連という、右脳と左脳をつなぐ脳梁という部位の一部分です。その断面積は、一般に女性が男性よりも13%大きいのですが、男性同性愛者のそれを測ってみると、女性より18%、男性異性愛者より34%も大きかったのです」

 男性同性愛者の脳は、少なくとも前交連の部分においては、〝超〟女性的ということになる。この前交連の働きを前出・山元教授は解説する。

「女性は脳の右半球と左半球の機能が男性ほど分化しておらず、そのため、両半球をつなぐ前交連の部分が発達していると考えられます。つまり、女性は両半球を同時に使ってさまざまな処理をしていることになる。

 前交連が太い男性同性愛者は、女性以上に左右の脳を使う度合いが大きいと言えます。
天才的な男性にゲイが多いとすれば、それは脳が多数派とは違う構成をしているからでしょう。

 独特な認知機能を持つわけですから、その創作物もユニークになりやすいはず。芸術性や独創性を問うような世界では、それだけ他から抜け出しやすいことになる」

天才たちの苦悩

 天才にゲイが多い理由を身体構造に求める声がある一方で、それは社会構造によるものと唱える者もいる。自身が女装家であり、性社会・文化史研究者で都留文科大学非常勤講師の三橋順子氏がそうだ。

 三橋氏は、ゲイが少数派であることが、特異なセンスを発揮するベースになっていると言う。

「ゲイは社会的抑圧が厳しいだけでなく、自己嫌悪にとても苦しむんです。なかなか自己肯定ができない。どうして自分は人とは違うのだろうかと悩み、極端な場合、自殺を考えることもあります。

 でも、そんなところから、もし開き直ることができたら、常識にとらわれない発想や視点をもてるようになるんだと思います。

 美輪明宏さんが言っていたんですが、三島由紀夫は自分の同性愛嗜好に対するコンプレックスが人一倍強かったそうです。そういうものを克服することで、クリエイティブな能力を発揮するゲイが出てくるんじゃないでしょうか」

 ゲイの精神的な孤立が独自性を生み、自己を受け入れた時、クリエイティブな能力となると分析しているのだ。実際、前出のクラシック評論家シャー氏もゲイの才能の開花条件に関して、同様の指摘をしている。

「ゲイの作曲家ジョン・コリリアーノは、芸術の世界で成功するには、性的嗜好について正直であることがもっとも重要である、と言っています。天才は自分の性的嗜好を隠そうとすればするほど、才能が抑えられる傾向にあるのです」