「学び曲線の共有」による新しいジャーナリズムの可能性~ オランダ人ジャーナリスト、ヨリス・ライエンダイク氏インタビュー
オランダ人ジャーナリストヨリス・ライエンダイク氏

 原発の是非、放射能の安全性等、今日私たちの周囲には複雑で正解のないような問いが溢れています。

 「もしあなたが、ある特定のテーマに関して知識がゼロの状態から定期的にブログを執筆し、寄せられたコメントやフィードバックを継続的に共有することで、学びをウェブ上で広めていくことができたら・・・」

 そう提案するのは、現在ロンドンを拠点に活躍するオランダ人ジャーナリスト、ヨリス・ライエンダイク氏です。

 ライエンダイク氏はかつて1998年から2003年までの5年間、オランダの有力紙の中東特派員としてエジプト・レバノン・パレスチナに滞在し、数多くのニュースを伝え、活躍した経験を持つジャーナリストです。一方で、それらの経験を通じ国際メディアの構造的問題や制約を感じ、アラブ社会の本当の姿をなかなか伝えることが出来ないというフラストレーションを持つに至ったという経験の持ち主でもあります。当時の体験を率直に綴った著書『こうして世界は誤解する~ジャーナリズムの現場で私が考えたこと』(邦訳は2011年12月に英治出版より発売)はオランダで25万部を越えるベストセラーとして大きな反響を呼びました。

 著書の中でライエンダイク氏が伝えていることは、中東の政治、テロ等のニュースを報道する際、国際的な西欧のメディアはどうしても視聴者の「見たいもの=ステレオタイプ」に偏重する傾向があり、それは個々のジャーナリストがコントロール出来る範囲を越えたものであった、ということです。

 中東の特派員としてのジャーナリズムの限界を感じたライエンダイク氏はその後、ある解決策を思いつきました。現場のストレートニュースをレポートするのではなく、コラムニストとしてオンライン、オフラインで読者と対話をしながら、一つのテーマについて掘り下げ、本質に迫るというアプローチです。直近のプロジェクトとして、英ガーディアン紙に「Banking Blog」と題した定期オンライン・コラムを2011年9月から執筆しています。