労力をかけるほど仕事は楽しくなる!「イケア効果」をフル活用せよ

ニュー・サイエンティスト UK

2012年03月04日(日)
〔PHOTO〕gettyimages

 手間のかかる"組み立て式家具"が売れるのは、なぜなのか?その意外な理由から、ビジネス成功の秘訣が見えてくる。

「人は自分で手間をかけることがクオリティーの向上に繫がると信じるものです」と指摘するのは、米ハーバード大の経済学者マイケル・ノートンだ。このことを彼は「イケア効果」と呼んでいる。製品の組み立て作業を消費者に任せることで成功した、家具大手イケアにちなんだ名称だ。

 ノートンはこんな実験を行った。被験者にイケアの家具を組み立てさせ、それをプロが組み立てたものと一緒に並べ、それぞれいくらまでなら買ってもいいかと尋ねたところ、被験者は自分が作ったものにより高値をつけたのだ。つまり、人は自分が労力をかけたものほど、高く評価する傾向があることがわかる。

 このイケア効果は労働意欲の向上にも活用できると、イタリアのボッコーニ大学のマーティン・シュライヤー准教授は言う。たとえば流れ作業は効率的だが、その分"完成の喜び"がない。そこで、できるだけ作業者が全工程に携わる感覚を持てるようラインを工夫することで、その意欲を高められるという。

 しかし、イケア効果には落とし穴もある。それは、「他人のアイディアに価値を見いだせなくなること」だとノートンは言う。

ニュー・サイエンティスト

 たとえばこんな逸話がある。アップルの創業者のスティーブ・ジョブズは、70年代にヒューレット・パッカード(HP)にパソコンの商品化を提案したが、HPはそのアイディアを一蹴。その後ジョブズはアップルを立ち上げ成功した。そしてHPと同じ過ちを犯さないためにも、たびたび他社を買収し、他人のアイディアや技術を精力的に取り入れてきた。

 このように、イケア効果の正負両面をうまくコントロールすることが、ビジネスの成功には不可欠だ。

 

COURRiER Japon

2012年3月号
(講談社刊、税込み780円)発売中

amazonこちらをご覧ください。
楽天
こちらをご覧ください。



最新号のご紹介

COURRIER最新記事
Ranking

「クーリエ・ジャポン」 毎月25日発売

More
Close