インフレ率はアジア最悪ベトナム「成長神話」の陰り

フィナンシャル・タイムズ(UK)より VIETNAM

2012年02月12日(日)

 近年、日本や欧米企業の進出が相次いでいるベトナム。「次の中国」として高い成長を期待されてきたが・・・。

 好調だったベトナム経済に陰りが見え始めている。12月末の同国政府の発表によると、2011年のベトナムのGDP成長率は、推計値で5・9%(対前年同期比)。前年の6・8%から1ポイント近く減少し、政府目標の6%に達しなかった。

 景気の減速感の高まりに、国内では危機感が強まっている。元計画投資大臣は最近、「ベトナムは財政危機に直面している」として、政府に対し、非効率な国営企業の売却などの改革を推し進めるよう求めた。

 わずか5年ほど前、インテルやキヤノン、パナソニックなど欧米や日本の企業はベトナムの安い労働力に魅了され、競うように同国に進出した。韓国や台湾の企業も、賃金が3倍ほども高い中国南部に見切りを付けて、同国に移転した。その結果、ベトナム経済は急成長を遂げ、たとえばナイキシューズの世界最大の生産国になった。いまハノイやホーチミンを歩くと、高級車ベントレーやルイ・ヴィトンのバッグを目にするのも珍しくない。

フィナンシャル・タイムズ(UK)より

 だが、経済発展を優先させた共産主義政府は、インフレを押さえ込むことに失敗し、アジアで最悪の前年比20%近いインフレ率を記録。賃金の上昇が追いつかず、個人消費の低迷を招いている。また貧富の格差も拡大し、首都ハノイでは最近、地方の農民が貧困撲滅を訴えるデモを頻繁に行うようになった。

 この深刻な問題を前に、政府は外国産高級品の輸入や外国人労働者のビザを制限したりするだけで、抜本的な改革に着手していない。高成長が持続しているあいだはさほど注目されなかった汚職や教育システムの問題も、経済成長の足かせとなっている。

 経済が行き詰まりつつあるいま、政府による大胆な改革なしには打開の糸口は望めない状況だ。

 

COURRiER Japon

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