経済の死角

シリーズ 2020年の世界から見た2012年の日本3
~本当のペーパーレスの時代が来る!~

2012年01月31日(火)
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図1

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文:羽生田 慶介

手紙をスキャンして電子メールで送る郵便局

 北欧フィンランドの郵便局では、なんと手紙を郵便局員が開封してスキャンし、Eメールのような形式で受取人に送信するサービスが試験的に行われた。これは低迷する経済情勢に対応したコスト削減と同時に、環境対応としてのCO2低減を実現する狙いで2010年に開始し、その大胆なアイデアに注目が集まった。

 運営する国営企業によれば、郵便物の開封に従事する職員の守秘義務遵守や、コピーを一切保存しないなどの運営規則、電子データ送受信のセキュリティ対策といった課題に対する手当てもなされており、「単なるEメールとは全く異なり、webバンキングに近いもの」とのこと。

 また隣国韓国では、2011年6月に「2015年までに小中高校の全学年の全科目、全ての学生を対象にするデジタル教科書を開発、導入する」ことを骨子とした「Smart教育推進戦略」が発表された。この計画によれば生徒は、我々が馴染みある教科書冊子を開くことなく、手元のタブレット端末にインストールされている各授業の科目に応じたアプリを起動させる。

 そして液晶や有機ELとなった黒板型ディスプレイと連動して宿題の答え合わせを始め、そこには欠席した生徒も自宅からオンラインで参加する。これは故スティーブ・ジョブスがやり残した「電子教科書や電子教材で教育を変える」という動きそのものである。

 これまで我々の生活に当然のようにあった存在である紙が、(1)21世紀に入り一気に強まった環境保護意識、(2)ここ5年の世界的な経済情勢の悪化をうけたコスト低減圧力、そして(3)これまで紙でしか実現できなかった機能を代替しうる技術・製品・サービスによって、その存在感を失いつつある。現に日本における紙の消費量は直近で大きな減少を見せているが、今回の消費量の変化は単なる景気連動では説明できず、背後に大きなパラダイムシフトがあることを感じさせる。

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