アジア危機の悪夢再び。米国はインフレ目標を打ち出したのに、欧州危機を前に「消費税増税」を仕掛ける財務省と野田政権の愚策

2012年01月30日(月) 高橋 洋一
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 このFRBの政策転換について、新聞各紙の社説が面白かった。まともにきちんと報道しているのは「インフレ目標 日本も導入に決断を」とする東京新聞だ。「FRBは米経済を支える不断の努力を」という日経新聞はこれまで日銀を守り「インフレ目標」に消極的だったために、ちょっと腰が引けている。「米ゼロ金利延長 危機の種まかぬように」という毎日新聞や「米ゼロ金利継続 景気低迷に警戒強めたFRB」との読売は、日銀からレクの影響が色濃く出ている。

 日銀は正式ではないが、「日銀は『事実上インフレ目標』をやっている。FRBは日銀の後を追って『事実上インフレ目標』をやった。これは国内の一部の人がいう『インフレ目標』ではない」というわけのわからないことをいっているようだ。

 こうした時、日銀官僚が得意なのは言葉のすり替えだ。日銀関係者のいう「インフレ目標」とは実際のインフレ値が目標と違ったらすぐ政策変更せよとかいうらしいが、バーナンキFRB議長からプリンストン時代に直接薫陶を受けた私はそんな「インフレ目標」なんて言ったことがない。日本では私がプリンストン大から帰国してからインフレ目標を日本に広めた(「インフレ目標政策への批判に答える」http://www.rieti.go.jp/jp/special/policy_discussion/07.htmlのだから、どうも日銀関係者のいう話はあてにならない。

 日銀のいう「事実上インフレ目標」は、消費税物価上昇率対前年比で0~2%と政策委員が「理解」しているだけで、とても「目標」といえるものでない。なにより、結果において、日銀は世界の中央銀行の中で最劣等生である。

 1998年4月の新日銀法施行以来、日米でインフレ率がどうなっているかをみると、日本で0~2%におさまっていたのは1割6分、米国で1~3%におさまっていたのが7割3分。先進国では6割以上が求められるので、日銀は明らかに落第だ。しかも、0%以下のデフレの確率は8割2分。これでは「日銀のデフレターゲット」と言われるのは仕方ない。

 

 これでも、日銀はこれまで「ジャブジャブ」にしてきたといい、マスコミもそれを鵜呑みにして報道する。しかし、世界で見れば、2000年代の日本のマネー伸率は世界最低である。そのため、世界最低の物価上昇率、世界最低の名目成長率になっている。

 

 

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