獨協医大・永井伸一名誉教授「子供をダメにする」親の研究 3000人の親子を聞き取り調査して分かったこと

2012年02月20日(月) 週刊現代

週刊現代賢者の知恵

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 学校の先生をしていると、家に帰っても生徒に接するのと同じように、教訓的なことばかり話してしまうんです。すると、子供は学校でも家でもお説教ばかり聞かされて、もう参っちゃいます。

 でも、先生といっても、親が幼稚園の先生の場合、子供は割合良い方向に育つんですよね。というのも、親は幼稚園での仕事が終わって帰ってきて、自分の子供も同じように育てなくちゃいけない、という意識を強く持っているんです。そうすると、自然と密度の濃い接し方を心がける。だから、幼稚園の先生の子供はたっぷり愛情を受けることができるんです。

 無気力学生の代表格だったオオクボ君のご両親も、中学と高校の先生でした。そこで、面談に呼んで話を聞いたら、両親が2人で寄ってたかって勉強に干渉すると。それでは、子供の気持ちの逃げ場がなくなって、精神的に潰れてしまいます。

 派手好きでしょっちゅう外出している母親やワーキングマザーの子供も、問題を抱えやすい傾向にあります。

 ただし、このケースでダメになるのは、男の子だけでした。女の子は、一人の女として母親と対峙するから、逆に気が強く、しっかりした子が育つようです。

 カワミさんという女学生の家は母子家庭で、母親はすごくしっかりした方なんだけど、夜のお店で働いていた。それで、ちょっと危ういかなと思って、深くつっこんだ面談を行ったんです。

「お母さんの仕事を嫌だなと思ったことはないの?」

「母は母、私は私なので。全然気にしたことありません」

 彼女は、きっぱりとそう答えました。やっぱり女の子の方が強いんだと思いました。

子がグレる理由は親にある

 こう語るのは獨協医科大学(栃木県下都賀郡)で27年間生物学の教授を務め、その後獨協中・高の校長に就任した永井伸一氏(75歳)。現在は同大の名誉教授となっている。

 教育論や人間学にも造詣が深く、教鞭を執るかたわらで、毎年学生全員と面談、さらに必要な場合は親とも直接面談し、3000人以上のカウンセリングを行ってきた。

 実証に裏打ちされた永井氏の教育哲学は、きわめて明快だ。

 それから、うちの学校に多かったのが、両親も医者、兄弟も医者という医者一家タイプ。

 ワタナベさんという新入生の女子の家族はすごかったですよ。お爺さんは国立大学の学長、お父さんは有名私立大学の教授で、上のお兄さん二人も医学生なんです。そうすると、小さい時から常に兄弟と比較され、親と同じような能力を当然視されて育つわけですよ。しかし、兄弟は東大医学部や名門私立の医学部に合格したのに、ワタナベさんは当時まだ認知度の低かった私立大・・・。その現実に直面した時、緊張の糸が切れてしまい、悶々となって、結局退学。

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