賢者の知恵
2012年02月20日(月) 週刊現代

獨協医大・永井伸一名誉教授「子供をダメにする」親の研究
3000人の親子を聞き取り調査して分かったこと

週刊現代
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 塾に通わせ、習い事をさせ、育児本を読んで研究する。親は我が子を「できる子」に育てようと奔走する。でもその努力、実は逆効果かも・・・。あなたの子育て、間違ってるかもしれません。

「両親とも教師」の家庭は危ない

今でも、面談をした学生一人一人の顔や性格は全て覚えているという。現在は自然の中での学習を推進する「東京環境教育実践研究会」の最高顧問を務める

 今から25年くらい前からでしょうか。入学してくる学生が、あまり勉強をしなくなっているということに気付いたんです。医大に合格するくらいですから、暗記力は高いのですが、知識を入れて出すだけのロボットのような、自分の頭で考えない子供が目立ってきました。

 そこで、成績の良くない学生の中でも特に問題の多い学生については、本人はもちろん親へのヒアリングも行い、どのような子育てをしてきたのか、聞き取り調査を始めたんです。

 分析してみると、面白い結果が出ました。親の社会的ステータスや職業、育て方が、子供の成長にかなり密接に関わっていることが分かったんです。

 たとえば、無気力症候群になる学生には、父親が高学歴だったり、成功者であるというケースが非常に多かった。

 オガタ君という男子学生がいました。非常に頭が良いのですが、なぜか劣等感の塊みたいな子で、全然自主性がない。勉強に対しても、すごく消極的なんですね。

 お父さんにもヒアリングしたいと思ったんですが、全然出てこない(笑)。何度も何度も呼びかけて、ようやく来たと思ったら、地方の名士でした。

「あなた、この子がどんなに勉強を頑張っても褒めなかったでしょう。ちょっとでも失敗したら、『こんなこともできないなんて、バカだ』と叱って育ててきたでしょう」

 そう聞いたら、その通りだと。自分が優秀な人は、息子のやることがいちいち気に障るわけです。その上、できない人間の気持ちが理解ができない。だから、すぐに「バカだ」、「どうしてできないんだ」という類いの言葉を発してしまうんです。

 子供のほうも、どんなに頑張っても、良い成績をとっても褒めてもらえなければ、勉強をしてもちっとも楽しくありません。小さい時からずっと「負け犬」精神を刷り込まれてしまったら、もう学習意欲も萎え切ってしまいます。

 両親共に教師という家庭でも、多くの場合子育てはうまくいっていませんでした。

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