「地域力」渾身ニッポンローカルパワー

どこまで本当に深刻なのか
地域社会は簡単にへこたれない
作家、脚本家 山田 太一

2012年01月29日(日)
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 地域の魅力とは、地域が元気になるには何が必要なのか。50人の論客が語る地域が元気になるヒントとメッセージがつまった、有名論客が地域興しを語る、「地域力 渾身ニッポンローカルパワー」から、抜粋してお送りします。 

[今回の著者]

山田 太一(やまだ・たいち)
1934年、東京都生まれ。
早稲田大学卒業後、松竹に入社。木下惠介監督に師事。1965年に退社してフリーの脚本家に。1973年、『それぞれの秋』で芸術選奨新人賞受賞。代表作に『岸辺のアルバム』('77年)、大河ドラマ『獅子の時代』('80年)、『ふぞろいの林檎たち』シリーズ('83~'97年)、『ありふれた奇跡』('09年)など。1988年に、小説『異人たちとの夏』で山本周五郎賞を受賞。
 

 私の家の近所でも、近くに大きなスーパーができたら、一部の商店はつぶれた。けれども、いまも健在の八百屋や魚屋、雑貨屋など、昔ながらの商店もあります。

 私が長らく住んでいる地域は坂道が多く、人口がどんどん増えて、高齢者も多い。そこで、たとえば商品を配達したり、キメ細かなアフターサービスをしたり、知恵と工夫と人間関係で商売をしている。高齢化が社会問題と言われていますが、このように考えようによっては高齢化のおかげで成り立っている商売もある。それに後継者がいなければ、それほど商売を広げる必要もないわけですから、それはそれで成り立っているようです。

 取材などでたまに地方に行くと、"シャッター商店街"をよく見かけます。そして、あたかもそれは大問題のように語られている。でも、ひと口には言えないはずです。

 シャッター商店街で店が閉店する理由は、お客が入らないこともありますが、後継ぎがいないことも大きな原因だと聞きます。少子化や都市化と過疎化、人口動態の変化など、いくつもの社会的要因が考えられますが、私は何よりもその個人的な事情にも思いをいたしたい。

 考えてみれば果たして、子どもに店を継いでもらうことが、みんなにとって本当にいいことなのか。家族のあり方が変わってきているいま、子どもが親の仕事を継ぐことが幸せなのか。子どもに店を残さなくてもいいというプラス面を見れば、気が楽になるかもしれません。見た目は暗くてもシャッターを閉めて別の幸せを手にする人生もあるはずです。

"いいものだから活かす"という発想ですべてを考える

 地方の話をするとき、「時代の流れ」とか、「グローバル化の波」などのキーワードをよく聞きます。でも、私たちはその言葉の本当の意味を、どこまで理解できているのでしょうか。言葉が上滑りしているのではないかと私は思います。

 私が脚本や小説を書くときにも気をつけているのですが、そもそも、人間の感覚が届く範囲にはどうしても限界があると思うんです。その範囲を超えてしまうと、ドラマとしても、小説としてもリアリズムを失ってしまう。現実社会でも同じだと思います。つまり、あまり言葉に踊らされないほうがいい。

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