ドイツ
可哀そうな鶏のお話
少々高価でも安全な物か、薬漬けになっていても安価な物、どちらがいい?

 今年になって、よく鶏がニュースに出てくる。可哀そうな鶏の話だ。単に鶏を食べることが好きな人も、あるいは、動物愛護の問題に心を砕いている人も、皆、悲しくなったと思う。

 まずは、卵の話。EUの卵は、1個ずつ殻の上に数字や記号が印刷してあって、卵の素性がわかるようになっている。一番先頭の数字は0、1、2、3の4種類で、どういう状態で生産された卵かという情報。その次のアルファベット2文字が生産国、そして、最後の7ケタの数字で、どこの養鶏場からきた卵かが特定できる。

 たとえば、数字の0と1は、戸外に自由に出られる鶏が産んだ卵。その中でも0の卵の生みの親である鶏は、有機餌で飼われなくてはならず、小屋に入れるときには1平方メートルあたり6羽までと決められている。日本のブランド卵とまではいかないが、一番自然に近い状態で生産された卵と言える。

 1は同じ放し飼いだが規制が緩く、餌は有機餌である必要がない。また、小屋に入れるときは、1平方メートルあたり9羽までOK。なお、0と1の鶏は、両方とも、戸外では最低1羽あたり4平方メートルの面積を貰えるようになっている。まあまあの広さといえる。

 さて、それに比べて2の卵を産む鶏は、ケージではないが、鶏の屋内体育館のようなところに放し飼いになっている。つまり、一応自由に歩くことはできるが、1平方メートルあたり9羽まで詰め込めるので、まさに真夏のプールのように混みあう。3m×3mは9平方メートル。その気になれば、このスペースで81羽の鶏を飼うことができるというわけだ。 

 しかし、問題は3。これは一生ケージに入ったままの状態の鶏が産んだ卵だ。

 ひどいケージの話をしよう。鶏は身動きが取れないほど押し込まれ、しかも、ケージが10階建てくらいになっている。餌も水も自動的に補給され、卵の収集も糞の処理も、すべてオートメーション。鶏は羽を伸ばすこともできず、もちろん砂浴びも水浴びも一度もしないまま、死ぬまで薄暗い金属製の檻の中で卵をうみ続ける。ひどくストレスが溜まるらしく、羽はほとんど抜け落ちている。