災害対策とソーシャルメディア ~アメリカ、海外の潮流

 阪神淡路大震災から17年の年月を経て、そして間もなく東日本大震災から一年を迎えるこの時期、改めて追悼の気持ちを抱き、そして今後の災害対策について、想いを馳せる方も多くいることと思います。

 災害時におけるソーシャルメディアの重要性についても多くの人が経験し、様々なメディアでも昨年の震災以降の検証が行われている中で、改めて何が機能し、何が機能しなかったのか、今後求められる災害時のソーシャルメディアの役割について考えることが求められています。

 そこで今回は、アメリカを中心とした海外の潮流の中で、今後の考察を深めるために参考になるのではないかと思える事例を2点、ご紹介したいと思います。

1:ソーシャルメディア活用を積極的に推進する政府機関~FEMA(アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁)

 2011年、アメリヵ国内では洪水、地震、山火事、ハリケーンと数多くの自然災害に遭遇しましたが、それらの災害時にソーシャルメディアを効果的に活用しながら次々とその存在感と重要性を発揮してきたのが、災害対応に特化した政府機関、FEMA(アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁)です。

 日本では馴染みがないかもしれませんが、1979年に設置されたこの組織は約7500名ものスタッフを抱える災害対策専門省庁で、その予算規模も58億ドル(約4400億円*2008年時の額)と、非常に大きな予算額規模を持った巨大組織です。かつて2005年にハリケーン・カトリーナが発生した際には、その不手際な対応が目立ち、国民の批判にさらされることもあったのですが、それから6年が経ち、過去の失敗を学び、近年高い評価を得ることに成功しています。

 FEMAのソーシャルメディアの活用の立役者としてよくメディアに登場するのが、2009年にオバマ政権から組織のトップに就任したクレイグ・フューゲート氏(Craig Fugate)です。危機管理対応20年間以上のキャリアを持ち、自身も危機管理に関する情報集約サイトを立ち上げた経験もあるフューゲート氏の就任後、市民との双方向のコミュニケーションを重視するアプローチは、静かに国民からも信頼を勝ち得ています。

 例えば昨年8月末、アメリカ東海岸大型ハリケーン「アイリーン」が上陸した際には、前もってニューヨーク州や市等の地域行政機関と連携をとり、いち早く特設サイトを設置し、リアルタイムでハリケーンの状況や被害情報などを集約して閲覧できるようにしたことで、災害時のソーシャルメディアの成功事例として高く評価される結果となっています。

 市民からの声、被害状況を行政が集約し、その情報を行政側がタイムリーに共有することでコミュニティ全体としての対策アプローチをとることが重要であり、そのためにソーシャルメディアの活用は欠かせない、とフューゲート氏は力説します。