「攻めの農業---中国へ輸出」と称賛された社団法人が「政治利権」と農水官僚に足元を掬われるまでの顛末

 不可能なことを可能と言い張って民間資金を集める事実上のサギ紛い行為---。

 中国への農水産品の輸出を目的にした社団法人を、ここまでこき下ろす「怪文書」が政官界に出回っている。

 それだけなら「法人内の内紛か利権争い」と目されて話題になることもないが、「捜査当局が近く最終判断」と、有田芳生民主党参院議員がツイッターでつぶやいたことから騒動が大きくなり、ネット上では「農水省3億円詐欺事件」と、疑惑が確定したかのような情報が飛び交った。

 もともとは、輸入に怯えるだけでなく、「攻めの農業」に転換、中国の富裕層向けに輸出しようとして始まった動きであり、『毎日フォーラム』(毎日新聞社)が「攻めの農業---中国へ輸出 『平成の開国』におびえる日本農業に活路!」と特集を組み、本誌(3月10日配信)でも報じた案件だ。

 新しい農業を模索する動きが、どうして利権絡みで語られるのか。

 転機は、「3・11」の福島原発事故だった。経緯を踏まえたい。

 きっかけは、2010年7月、民主党内に農産物や農産加工品を世界へ輸出しようという勉強会が立ち上がったことだった。メンバーは鹿野道彦農水相、筒井信隆副農相、一川保夫前防衛相などで、農水省の事務方も加わって、会を重ねるうちに「攻めの農業」という考え方が醸成され、やがて「北京に、日本の農水産品のアンテナショップを作ってはどうか」という提案がなされた。

 話しはトントン拍子で進み、10年末には筒井副農相が訪中、中国有数の国有企業「中国農業発展集団(中農集団)」のトップの劉身利会長と「覚書」を交わすまでになった。

 北京の「全国農業展覧館」は、地上2階地下1階建て延べ床面積約5000平方メートル。この施設を5年間、借り切って日本のコメや牛肉、果物などを展示販売、「売れ筋」を販路に乗せようという計画だった。