磯山友幸「経済ニュースの裏側」

大阪維新の国政進出はあるのか---橋下徹大阪市長の"天才的アジテーション"に右往左往する既成政党

2012年01月25日(水) 磯山 友幸
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「大阪がこのように今、動き始めているなら、この日本国も動かしていこうじゃありませんか」

 大阪維新の会を率いる橋下徹大阪市長が1月20日、大阪市内で開いたパーティーで行った挨拶に、永田町は蜂の巣をつついたような騒ぎになった。翌日の新聞各紙も「橋下市長が維新『国政進出宣言』」「橋下氏、腹の底では首相狙う?」(読売新聞)、「維新の会、衆院200議席を目標 300人擁立を検討」(朝日新聞)と、維新の会が国政に打って出ることを決めたというトーンの記事を掲載した。

橋下徹大阪市長〔PHOTO〕gettyimages

 大阪維新の会が3月に発足させる「政治塾」に公募で400人程度の塾生を集めるとしたことが、大量擁立報道の根拠になっている。メディアに近い大阪維新の会の幹部が次期衆院選への候補者擁立に前向きな発言をしていることも大きいようだ。

 こうした報道を受けて、民主党や自民党など既成政党の間には動揺が広がっている。とくに支持率が低迷している民主党は、"政権交代ムード"の中で当選した若手の議員が多いだけに、波に乗った大阪維新の候補者が出てくれば苦戦は必至。さっそく、 輿石東幹事長は記者会見で「対決はしない。どう対応するかはこれからだ」と述べ、正面衝突を避ける姿勢を示した。

 一方の自民党も水面下で橋下氏との連携を模索しているという。報道によれば自民党の大阪府連会長である竹本直一衆議院議員は自民党員が籍を置きながら維新の会にも加わる二重党籍を「容認することもあり得る」と述べてたという。府議会や市議会で「維新VS自民」という対立の構図が出来上がることを何とか避けたいという苦しい胸のうちが伺える。

 みんなの党も大阪維新に急接近している。大阪維新には、上山信一・慶応大学総合政策学部教授や元経産官僚の原英史・政策工房社長、同じく経産省を去年辞めた"改革派官僚"古賀茂明氏などがブレーンとして結集している。彼ら「脱藩官僚」は、公務員制度改革などを掲げるみんなの党と政策的にも近い。

 大阪維新とみんなの党は、いわばブレーンを共有しているのだ。大阪維新の会が実現を公約している「大阪都構想」に関しても、みんなの党は関連法案の提出などで協力する構えだ。そのほかの、政党も軒並み大阪維新に秋波を送っている。既成政党の支持率が上がらない中で、大阪維新の勢いに乗りたいという願望が透けて見える。

 では、本当に大阪維新が国政に打って出ることはあるのか。橋下氏は本当に首相の座を目指しているのか。

「それは地域よりも国政が上にあるという既成観念に捉われた人の発想。われわれは国政を動かすことにも、日本国の首相を握ることにも、まったく興味はない」

 橋下氏に近いブレーンのひとりは、そう断言する。では、次の衆院選に候補者を立てないのかと聞けば、どうも、そうではないらしい。

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