変化見られる人民元相場=中国経済の先行きに変調も
人民元相場に微妙な変化が出始めている〔PHOTO〕gettyimages

 足許で、人民元相場の動向がやや不安定になっている。今まで、中国経済の力強い成長を背景に、一本調子で上昇してきた人民元相場に微妙な変化が出始めている。この背景には、ユーロ圏の信用不安問題の拡大によって、投資資金がリスク・オフ(保有するリスク量を減らしている)のオペレーションに走っていることがある。

 投資家が保有リスクを減らすためには、まず、マザーカレンシー(母国通貨)以外の通貨保有リスクを減額することになる。そのため、今まで高い成長性を求めて人民元に流れ込んでいた海外の投資資金が、中国から本国へと回帰する動きが活発化する可能性が高い。こうした投資金の本国回帰はリパトリエーションと呼ばれる。昨年の年央以降、そうしたリパトリエーションの動きが活発化したと言われている。

 もう一つ見逃せない点は、少し長い目で見た中国経済の成長力にやや陰りが見えることだ。中国経済は、ここまで、国内の旺盛な投資意欲と堅調な輸出の伸びに支えられて高成長を享受してきた。しかし、最大の輸出先であるユーロ圏の経済減速懸念などもあり、成長率の鈍化は避けられないだろう。そうした点に注目する投資家は少しずつ増えている。

大規模な財政政策の効果剥落

 2008年9月のリーマンショックの後、中国政府は大規模な財政政策(総額約57兆円)を実施して経済成長を下支えした。その効果もあり、世界の主要国の成長率が軒並み低下する中、二ケタ近い高成長を継続することができた。その間、中国の所得水準は上昇し、わが国をはじめ主要国からの輸入も増加した。中国の高成長が、世界経済を支えてきたと言っても過言ではないだろう。

 ただ、大規模な財政政策の効果は永久に続くものではない。農村部の家電製品の普及が一段落したこともあり、足元で、経済対策の押し上げ効果はほぼ剥落したと考えてよいだろう。それに加えて、中国政府は物価や不動産価格の上昇を朝えるために、金融政策を引き締めたこともあり、中国の国内景気に頭打ち傾向が鮮明化した。

 特に、金融を絞ったため、沿岸部の零細な輸出企業の倒産件数が一時期かなり上昇した。資金繰りに窮した零細企業の経営者が、高い金利の"ヤミ金融"に手を出すことも多かったようだ。中国政府は、そうした"ヤミ金融"の取り締まりを本格化し、首謀者を検挙しては厳罰を科したとの報道もある。

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