「多様性の宝庫」シンガポール大学の醍醐味を体験!
アジアの多様性の激突から学べ

〔PHOTO〕gettyimages

シンガポール人は全体の一割!

 今回は私が名誉顧問とティーチングフェローをつとめる、アジア最高レベルの公共政策大学院、リークワンユースクール(以下LKY)を紹介しよう。建国から45年で人口を三倍にし、この30年で名目GDPを30倍にしてきたシンガポール。近代都市国家で最高の成功事例と言われる。

 いまやドバイ、モスクワから大阪までもがその叡智を学ぼうとしており、世界からモテモテだ。それに乗じてシンガポール政府は、成功要因をパッケージとして世界に売り始めた。工業団地設置、港湾管理、空港管理、道路管理のシステムをロシアや中国に売っている。

 シンガポールのこの優れた公共政策が最も効率的に学べるのがLKYである。建国の父リークワンユーが唯一名前を冠することを許した機関である。病院や空港や財団には自分の名前をつけることは一切許していないリークワンユーだが、自らが推し進めてきた公共政策を研究し、教育素材に使っていく作業に自分の名を残すことだけは納得したのだといわれる。

 LKYの魅力は多様性。とにかく学生の背景が多様なのだ。セネガル、東ティモール、カザフスタン等、日本にいてはなかなか出会えない国からの学生と議論を交わすことができる。とはいえ、多少、中国とインドの出身者が多いという地域的な偏りはあるが、地元の学生は1割ほどに過ぎない。

 学生の多くは、ミッドキャリアといわれる中堅社会人層で、そのバックグラウンドも、政府高官、NGO,ビジネス、学者、国際機関、メディア等々幅広い。それぞれの専門分野に関する知識や見識が授業で披露され、非常に刺激的だ。

 日本からも、金融庁、外務省、経産省、厚労省、東大大学院、NHK,朝日新聞、読売新聞等幅広く留学生を送り込んでいる。今でこそ、これだけ幅広い人材が日本政府からも集まってきてくれたが、最初は苦労した。私が顧問に就任し「日本政府にもアジアに特化して、特にシンガポールの公共政策を学ぶ意義は大きいので、留学させては?」と人事院を口説き始めた時、人事院の答えはつれなかった。「学位取得の留学は欧米に限定です。東南アジアは特殊言語留学になります」と、シンガポールへの学位取得留学を認めなかったのだ。シンガポールに上から目線で、欧米にいまだにあこがれがある、日本の役所の感覚には閉口した。

 その後、金融庁の政務官となり、アジアの金融センターとしてのシンガポールの重要性を理解しつつあった金融庁と話し合い、日本政府の第一号留学生は金融庁出身者が行くこととなった。それから横並び主義の日本の役所がようやく動いてくれ、経産省や外務省が続いてくれた。現在経産省から留学中のA氏は「これからは間違いなくアジアの時代。その中心にあるのがシンガポール。ここで学べて人脈を造れて本当によかった」と述べている。

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