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日本経済いま知っておくべきこと
あなたがすべてを失わないために

国債暴落だけじゃない!
これからとんでもないことが起きる
政府も企業も妙手を打てない。最後は海外勢に買収・救済してもらうしかないのか〔PHOTO〕gettyimages

 年が変わっただけのことである。問題はそっくりそのまま、残されている。何ひとつ解決していない。身を引き締めよ。ヨーロッパが発火点となった恐慌はいずれこの国を襲う。そのとき慌てても遅いのだ。

「復興債」から分かること

 2011年、「神話」は脆くも崩れ去った。

 日本の「モノ作り」は世界で群を抜いている、だから日本の大手メーカーが負けることはない—日本人は長らくそう信じてきたが、ソニー、パナソニックといった大御所が軒並み真っ赤な決算を発表し、経営者たちは会見場で苦渋の顔を見せた。

 超円高。欧州危機。中国・インドなど新興国の台頭。七重苦とも八重苦とも言われる苦境に、日本企業はあえいでいる。

 企業だけではない。国の借金=国債は天文学的に積みあがり、国民の収入は減り続ける。国も企業も国民も、これまで貯めこんだカネを取り崩しながらどうにかやりくりしてきたが、限界に近づいてきた。

 いま、日本経済になにが起きているのか。これからなにが起きるのか—。

 2012年は、日本をめぐるもう一つの「神話」が終わりを迎える年になるだろう。日本国債は安全だとするそれである。

 予兆がある。

「(日本国債をいま大量に)買っている業態は海外勢であり、これは増え方が尋常でない」

 東京・霞が関の財務省内、第3特別会議室でこんな発言が飛び出した。昨年末に開催された国債市場特別参加者会合でのことだ。

 この会合は一定額以上の国債を買うことを条件に財務大臣から指定された金融機関のメンバーが参加し、財務官僚と国債市場の動向に関する情報交換を行うもの。いわば、国債を安定的に市場で消化するためにどうすればいいのかを話しあう"国債インナーサークル"である。

 いったいなにが「尋常でない」のか。一橋大学准教授の小黒一正氏がこう指摘する。

「この事実は日銀が公表している統計を見れば誰でも確認できることですが、大々的に報道されるとインパクトが大きいからか、マスコミはほとんど報道していません。直近の統計によれば、市場で新たに消化された約43兆円の国債のうち、その4割ほどにあたる約16兆円を海外勢が買っていることがわかったのです。

 日本国債を買い支えているのは日本の家計であり、日本の金融機関であるというのがいままでの常識だった。国内で消化できるから海外勢から売り浴びせられることもない、だから安全という神話もこれに基づいてきた。その神話が崩れかけているんです」

 会合ではこれを聞いた参加者たちが、不安を具体的にこう言葉にしている。

「海外勢は市場に入るときも早いが、出るときも早いということが懸念材料。海外勢が買っていることで現在の円債(円建て債券)市場は低位安定していると捉えることもできるが、将来的にはかなりボラティリティ(激しい変動)を与える可能性がある」

「仮に売りが生じた場合には急激な利回り上昇(急激な価格下落)するおそれがある」

 小黒氏が続ける。

「イタリアの公債の海外保有比率は2割ほどだったのが、10年間で2倍の約4割に上昇した。そして昨年、国債を市場で売り浴びせられて、金利が危険水域の7%まで急上昇した。

 日本でも同じように海外勢による保有割合が急上昇する可能性が出てきたのです。彼らは日本の財政再建はうまくいかないことを知っていて、売りのタイミングを虎視眈々と待っている。税と社会保障の一体改革が空中分解したり、消費税増税ができない事態になったりすれば、そこを狙ってくるかもしれない。日本国債は国内で95%が消化されているから安全という神話は大間違いです」

 こうした事態を受けて、財務省は今年に入ってこっそり"奇策"を打った。

 東日本大震災の復興費用をまかなうために発行される復興債の9割を、個人向けで売り出す方針を決めたのだ。表向きの理由は「個人投資家の需要がある」というが、ホンネは違う。

「流通市場でこれ以上、海外勢に買って欲しくないと考えているのでしょう。『銀行の預金金利より高い』などという謳い文句で誘い込んで、日本の個人投資家に押し付けようという魂胆が透けて見える」(米国在住の機関投資家)

 日本の財政が立ち行かなくなることは「政府も財務省も知っている」(現役財務官僚)。いずれ国債が暴落することは目に見えているのに、国=財務省はその「危険債券」を国民に売りつけようとしているのだ。

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