雑誌
憤怒レポート第4弾
不平不満はすべて「手当」でカネに
地方公務員の「役人天国」にメスを!

〔PHOTO〕gettyimages

 凄まじい好待遇は国家公務員だけではない。打ち出の小槌の「特殊勤務手当」に、〝わたり〟と呼ばれる横並びの「役職手当」・・・。公務員の8割を占める地方公務員のあり得ない超厚遇を斬る!

 公務員の高給ぶりと「官民格差」の実態を、昨年3回にわたって報じた本誌「公務員天国」追及レポートは、大きな反響を呼んだ。その厚遇ぶりは、給与や手当だけでなく、住宅補助、退職金、年金にまで及び、民間企業に勤めるサラリーマンの憤激をかった。

 しかし、公務員問題はそれだけに止まらない。これまで主に国家公務員のバラ色の生活ぶりを取り上げてきたが、今回からもう一つの公務員天国「地方公務員」に焦点を当てる。実は、地方公務員のほうが国家公務員より数段、恵まれているのである。

 ジャーナリストの北沢栄氏が指摘する。

「地方公務員の給与は平均して国家公務員よりも高く、地域の民間企業の給与に比べても高くなっています。その原因は過剰な手当です。地方公務員には『特殊勤務手当』なるものがあり、これがお手盛りに活用されている。国家公務員にはない地方独特の手当がいくつもあり、多額の公金が支出されているのです」

 総務省の「平成22年('10年)地方公務員給与実態調査」によると、地方公務員の平均給与月額は38万5573円(平均年齢42・9歳)。これに対して、国家公務員の平均は40万8496円(平均年齢42・2歳)。これだけ見ると国家公務員のほうが高い。が、実態は違う。北沢氏の指摘する諸手当を入れると、地方公務員は42万7227円となり、国家公務員より高くなる計算となるのだ。

 問題はそれだけではない。地方公務員は、国家公務員の約56万4000人に対して、237万7000人もいる('10年・財務省調べ)。5倍近くの職員に対して高い給料を払うのだから、税金による人件費負担は国家公務員の比ではない。諸悪の根源は「手当」なのである。

「地方公務員の給与制度のデタラメぶりは'04年に問題化しました。当時の麻生太郎総務大臣は、地方公務員の高給の例として大阪市の事例を取り上げ、手当としてスーツ代金が2~3年ごとに支給されていることや『カラ残業』、互助会を隠れ蓑にした『ヤミ年金』、さらには互助組合への48億円もの交付金の支出も明るみに出ました」(全国紙府政担当記者)

 '05年には、当時の財務大臣・谷垣禎一現自民党総裁の名で、「地方公務員給与の主な問題点」と題された資料が発表された。その中では、次のような問題点が指摘されている。

①地域の民間給与を上回る給与水準
②同種の国家公務員より高い給与水準
③地方における過大な上位級職員の比率
④「特殊勤務手当」などの不適正な手当

 こうした動きに、総務省もさすがに地方公務員の給与制度に対する見直しをせざるを得なくなった。しかし依然として各種手当は残り、民間企業、そして悪名高い国家公務員よりも高給なのだ。第4弾となる今回は、驚くべき「地方のトンデモ手当」の実態を暴露しよう。

メガネ手当って、何?

 地方公務員の手当は、一般行政職や技能労務職などの違いに関係なく、すべての職種に存在する。前出の総務省調査('10年)を見ると、職種によって、以下の金額が手当として毎月付いている。

・一般行政職・・・8万967円
・技能労務職・・・6万1432円
・高等学校教育職・・・6万4697円
・小中学校教育職・・・5万6346円
・警察職・・・14万3157円

 など、どの職員の給与にも、これだけの手当がプラスされるわけだ。

 トンデモ手当の代表格とされる「特殊勤務手当」とは何か。国の労働問題研究所に10年間勤めた後、ジャーナリストに転じた若林亜紀氏が説明する。

「特殊勤務手当の考え方は、机に座って行う楽な事務仕事を基本として、それより何かちょっとでもストレスがかかることをしたら『貰えるもの』となっています。『みんな同じ給料なのに、自分の仕事のほうが大変じゃないか』という理由で、どんどん手当を積み重ねていくのです」

 ある地方都市の元職員が告発する。

「私の市には『賦課徴収手当』というものがありました。これは固定資産税の滞納者から徴収する仕事に対して支払われていました。滞納者から徴収するのは精神的に苦痛を伴うというので、実働1日につき400円です。'07年に改正される前は650円でした。上司が、『去年までは月に1万2000円は付いていたのになぁ』と、ぼやいていました。県の職員に対する『徴税手当』というものもありました。不動産取得税に関するもので、滞納者への実際の徴収作業は市の職員が担当するのですが、県の税務部の職員にも支払われていたのです。毎月一律で基本給の1割がつくので、平職員でも月に1万8000円程度です。私は県の担当者に抗議しましたが無視されました」

 上の表に、全国の地方公務員に存在する手当と、見直しにより廃止された手当をまとめた。いずれも、お手盛り感たっぷりの呆れた内容だ。例えば、「用地交渉手当」というのは、道路用地などの買収交渉を担当すると貰える。前述した税金の徴収と同様、買収交渉にはストレスがかかる---との発想で作られたのだろう。

 民間の企業では考えられない。特殊勤務手当とは別に、「独身手当」というものもある。正式名称は「単身者給付金」だが、未婚で一定の年齢に達すると支給される。群馬県高崎市では満45歳を迎えた職員に職員厚生会から3万円が支給される。市側は、「結婚した職員には3万円の祝い金が出るので、不公平感をなくす制度」と説明する。「横並び」が公務員の特徴なのだ。前出・ 若林氏が言う。

「東京都では、住居手当を月8500円出しています。民間企業では、賃貸住宅を借りた人にだけ、期限を設けて家賃補助を支払うことが多い。しかし都の場合は大盤振る舞いです。というのも、都ではマイホームを購入した職員にも親の家をもらった人にも、世帯主であれば全職員一律に住居手当を出しています。貰えないのは、公社や公団、官舎に居住している職員だけなのです。恵まれすぎです」

 日本経団連の調査では、会員企業の持家援助の平均は月約595円である。東京都の手当はその15倍近い。西宮市は格段に高く1万3000円というから驚く。

 すでに廃止された特殊勤務手当を見ても、よくもここまで細かく手当を付けたものだと呆れ返るばかりだ。例えば「ゲロ処理手当」。駅や電車の中で酔っぱらいなどが吐いた吐瀉物を掃除すると1回200円の手当が付いた。「わさび栽培作業手当」というのは静岡県。県職員が伊豆市のわさび栽培現場に足を運ぶと、日当360円が支払われた。ある地方公務員が言う。

「ウチの県では、通称『メガネ手当』と呼ばれるものがありました。2年に1回、購入したメガネの半額を市が負担するのです。上限は2万5000円までで、領収書を福利厚生課に持っていけば、半分返ってくる。仕事で目を悪くしたから、その補償という意味だそうです」

 そんなことを言い出したら、何にでも手当がついてしまう。「特殊勤務」を拡大解釈することで、各自治体が、どんどん手当を増やしていったのである。

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