佐々木俊尚「ブレイクスルーな人たち」
2012年01月19日(木) 佐々木 俊尚

佐々木俊尚が5人の若者に聞く『21世紀の生き方』第1回「ノマド、シェア、そして家もいらないーー私たちはこんな生活をしています」

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佐々木: 今日の集まりは、日本のネットメディア史上あまり例のない非常に特異な座談会ではないかと思います。今ネットメディアで、ビジネスやワークスタイルを語ったり、これからの仕事や産業がどう変わるかを語っているメディアは、メジャーどころではいくつもあるんですね。日本では、講談社の現代ビジネスの他に日経ビジネス、ダイアモンド、JBプレスなどがありますが、そういうところで語られてきたビジネスの世界の話というのは、相変わらずレガシーな世界の話が中心でした。

 しかし、ここに今日お集まりいただいた5人の方たちは、知っている人は知っているんだけれど、多分現代ビジネスなどビジネスメディアの主な読者層の人たちにはほとんど知られていないんじゃないかと思います。そこが重要な部分で、今までのビジネスの世界ではまったくあり得なかったような新しいワークスタイルで働く人がたくさん現れてきていて、そういう人たちが一つの大きな圏域を形成しつつあります。

 これは、年齢はあまり関係ないんですね。今日来ている方々も20代の方もいれば30代半ばくらいの方もいます。そんな新しい動きがどんどん出てきているにもかかわらず、相変わらずレガシーなメディアの世界はそこにあまり触れてこなかった、見てこなかった、という状況があります。

 少し流れを振り返ると、2009年、2年半くらい前ですが、僕は『仕事するのにオフィスはいらない ノマドワーキングのすすめ』という本を光文社新書から出しました。その頃に「これからはフリーランスになる人が増えて新しいワークスタイル、新しいライフスタイルを追求する人が出てくるだろう」ということを書いたんです。当時は「ないよ、そんなもん」「何を空想論を語っているんだ」という反応が圧倒的多数でした。僕もそれが現実になるのはまだ大分先かなと思っていました。

 その本のなかで、イギリスの『エコノミスト』という雑誌が「これからノマドという新しいワークスタイルが出てくる」ということを書いているのを紹介して、「イギリスやアメリカで、そういう新しい仕事の仕方をする人が出てきているよ」ということを書いたんですが、日本ではまだ当時そういう人は現実にあまりいなかったんです。

 そういう状況で、無理矢理自分の友人などを探し回って、ノマドをやっている人を見つけて取材して書いたのですが、気づいてみるとこの2年間で劇的に状況が変わりつつある。多分、震災が後押しした部分も相当あるんじゃないかと思いますが、世の中に安定的なものは何もない、と。

 不安定になればなるほどみんな安定的なものを求めたがるんですが、もう何が安定的かすら誰もわからない状況になって、10年先どころか1年先も真っ暗闇みたいな状況のなかで、とにかく目の前の会社にぶら下がるのではなく、新しい仕事の仕方をしましょう、好き勝手に楽しくやりましょう、というので、変な仕事の仕方をする人がどんどん現れているわけです(笑)。

 驚いてしまうのは、今日来ている人のなかには、家も持っていないで仕事をしている人までいるということで、ホームレスとどこが違うのかよくわからないという(笑)、そういう生活の仕方をする人さえ出てきている。今日は理念とか空想論とか抽象論を戦わせるのではなくて、そういう新しい圏域のなかで生きている人たちが、いったいどんな仕事の仕方をしていて、いったい何を求めているのかという、その具体的なところまで切り込んでみたいと思います。

 そういうわけで、この5人を知らない人も多いでしょうから、最初は自己紹介からお願いします。ではまず、米田さん、お願いします。

家がなくても仕事はできる

米田: 米田智彦と申します。フリーの編集者の仕事をしていました。編集というと出版業界の編集という印象が強いですが、もう今はそういう状態ではなくて、WEBの編集もありますし、イベントの企画や司会もやらせていただいているので、自分では「現代編集者」という肩書きを作って名乗っています。

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