円高だけのせいじゃない---苦境の日本製テレビ
CESに見る生き残りの方策とは

セントラル会場の入り口に置かれたLG電子の3Dシネマ展示は巨大(CES2012にて筆者撮影)

 厳しい円高と国内需要の低迷を受け、ソニーやパナソニックなど日本製テレビは苦境に立たされている。一方、米国ではサムスン電子やLG電子が着実に売上げを伸ばし、昨年は韓国メーカーが初めて薄型TV市場の5割を押さえた。

 日本とは対照的に、米テレビ視聴時間は34.2時間/週で過去5年間で約2時間伸び、ハリウッドや大手テレビ局の収益は拡大している(注1)。円高を乗り越え、日本製テレビは米国で復活できるのだろうか。今回はラスベガスで開催された米国最大のハイテクショーCES(全米家電見本市)を舞台に繰り広げられた「テレビ戦争」から、その可能性を考えてみたい。

3Dや4Kテレビの大型展示競争が広がる

 市場調査会社NPDグループによると、2011年第3四半期の米国薄型テレビ市場(金額ベース)で、韓国勢がはじめて市場シェアーの過半数を超えた。具体的には、サムスン電子が37%、LG電子が13%とトップを占め、パナソニック(9%)、ソニー(9%)、東芝(7%)の日本勢を押さえた。

 日本メーカーが米国市場で不振に陥ったのは、間違いなく「円高」のせいだろう。しかし、私はそれだけが理由ではないと見ている。韓国勢が伸びているのは、目まぐるしく変化するテレビ・ビジネスに敏感に対応し、新たな戦略と開発を続けているためだろう。

パナソニックは、スタジアム形式の巨大3D展示が眼を引いた(CES2012にて筆者撮影)

 延べ14万人が集まる、全米最大のIT見本市「CES(International Consumer Electronics Show)」が10日からラスベガス・コンベンションセンターで開催された。メイン会場となるセントラルホールに入ると、まず壁一面に広がるLG電子3Dテレビが眼に飛び込んできた。

 こうした大型展示はLG電子だけでない。今年の3Dテレビは、大型で派手な展示を各社が競った。LG電子は広いブースの半分以上を3Dテレビ関連で埋め尽くし、その意気込みを示している。また、パナソニックはミニ・スタジアムを構築して高々と3Dテレビを積み上げた。ソニーは横幅10メートルを超えるステージをしつらえて、大型3Dディスプレーを並べてプレゼンテーションを繰り返した。

(注1) 出典:タイムワーナー社の調査レポート
シャープはファッションショー形式で軽さを印象づけるが、重たそうに見えた。(CES2012にて筆者撮影)

 今年は、3Dと並んで各社が『4K』と呼ばれる次世代超高精細ディスプレーも展示された。米国家電業界では「テレビ、携帯、ゲーム・コンソール」を3大牽引車と呼んでいる。派手な展示が飛び交う3Dテレビは、業界最大の牽引車が健在との印象を来場した人々に印象づけた。

 しかし、メーカーの派手な展示とは裏腹に、米国の3Dテレビの普及はなかなか進まない。高精細テレビが普及した後、3Dを新たな成長分野にしたいという思惑は良く分かる。だが「3DテレビやHDテレビなどは、若い世代が求めるテレビ視聴の多様化に対応できているのか」という疑問が私の胸には引っかかっていた。

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