フランス格下げの衝撃=ユーロ圏のセーフティーネット崩壊

 1月13日の金曜日、有力格付け会社であるS&P(スタンダード・アンド・プアーズ)は、ユーロ圏第2位の経済大国であるフランスを含む9か国の格下げを発表した。今回の措置により、今まで最上級の格付けであるAAA(トリプルA)を維持してきたフランスとオーストリアがAA+(ダブルAプラス)に、イタリアはBBB+(トリプルBプラス)へと2段階引き下げられることになった。

それらの諸国が格下げされること自体は、金融市場ではかなり以前から話題になっており、大きなサプライズにはなっていない。しかし、フランスとオーストリアの格下げが実施されたことによって、ユーロ圏のセーフティティーネット(安全網)の仕組みが実質的に崩壊することが懸念される。

今後、ギリシャの債務再編問題などが期待通り運ばない場合、ユーロ圏の対応能力が一段と低下することは避けられない。

金融市場の関係者の間では、「ユーロ圏の信用不安問題はさらに悪化することは避けられず、ユーロ圏経済が落ち込むことになる」との見方が強まっている。問題は、ユーロ圏の問題が世界経済に大きな痛手を与える可能性が高いことだ。ユーロ圏問題が長期化するリスクを頭に入れて置くべきだ。

セーフティーネットの機能不全化

現在、ユーロ圏のセーフティーネットとしてEFSF(欧州金融安定基金)が創設されている。この基金は、ギリシャやアイルランドなど経済危機に陥った国を救済するために、ユーロ圏諸国が資金を供出して創設された機関だ。既にギリシャやポルトガルなどに対して約1900億ユーロの資金供給を行っている。

この機関は、基本的に、今まで最上級格付け(AAA)を持っていたドイツ、フランス、オランダ、フィンランド、ルクセンブルグ、オーストリアの政府が保証を提供し、その保証に基づいてEFSFが債権を発行して資金の調達を行ってきた。

ところが、今回の格下げによって、AAAを維持している国はドイツ、オランダ、フィンランド、ルクセンブルグの4か国に減ってしまった。この4か国から提供される保証額は約2600億ユーロで、その内既に1900億ユーロを使っている。ということは、900億ユーロの枠しか残っていない。その金額では、とてもセーフティーネットとしての機能を果たせるとは考えられない。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら